次に「くる」BL出身マンガ家はこの人!
BL誌から女性誌や青年誌など、活躍の場を広げるマンガ家が増える今、BL出身のマンガ家をチェックしておけば、次にブレイクするマンガ家をイチ早く知ることができるかも!? ネクストブレイク確実のBL出身マンガ家と、BL出身マンガ家から人気マンガ家が生まれる理由を、ちょっと考察してみたいと思います。
雲田 はるこ(著)
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●雲田はるこ/『野ばら』
はじめての非BL作品『昭和元禄落語心中』で「このマンガがすごい! 2012 オンナ編」第2位を受賞し、「このBLがやばい! 2013年版」第4位の『新宿ラッキーホール』など、BL作品の執筆も精力的に続けている雲田はるこ。BL作品とそれ以外のジャンルの作品で共通する魅力が「男のイロケ」です。特に年を重ねた男性のイロケは絶品。
『昭和元禄落語心中』を読んだことがある人なら、主人公・与太郎の師匠で、「昭和最後の大名人」と呼ばれる噺家・有楽亭八雲のイロケに、枯れ専じゃなくても萌えたはず。そんな人には、「このBLがやばい! 2011年度版」第3位の『野ばら』に登場する、子持ちバツイチのアラフォー男子・神田さんの生活疲れを感じさせるイロケも、ぜひ堪能していただきたい!
男性同士の恋愛を描くBLでは、男性のイロケをいかに描くかも重要な要素。男性のイロケを存分に描くことができるのは、BL誌出身のマンガ家の魅力のひとつかもしれませんね。
えすと えむ(著)
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●えすとえむ/『愚か者は赤を嫌う』
BLでもっとも大切なのが「萌え」。BL作品には、作家の「萌えるツボ」がトコトン描かれている作品も多いのです。
たとえば、『うどんの女』で「このマンガがすごい! 2012 オンナ編」第3位、『equus』で「このBLがやばい! 2012年版」第6位を受賞した、えすとえむは大の闘牛士ファン! 「月刊イッキ」で現在連載中の『Golondrina-ゴロンドリーナ-』では、女性闘牛士をめざす少女・チカの物語を描いていますが、BL作品『愚か者は赤を嫌う』の主人公も闘牛士です。闘牛の本場・スペインで取材を重ねているだけあって、どちらの作品も臨床感抜群! BL・非BL作品の両方を読み比べてみれば、作者の「萌えるツボ」に迫ることができるかもしれませんよ。
ヤマシタ トモコ(著)
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●ヤマシタトモコ/『くいもの処 明楽』
ここ最近のBLの傾向が「日常を描く」こと。ちょっと前まで、BLといえばイケメンと美少年がロマンチックな恋をする……というものがほとんどでしたが、ここ数年は、ごく普通の男子が、ごく普通の恋愛をしている作品が増えています。そのキッカケのひとつが、ヤマシタトモコのデビュー作『くいもの処 明楽』の「このBLがやばい! 2008年版」第1位受賞。
『くいもの処 明楽』では、少女マンガのように甘いセリフや展開は一切なし! 居酒屋「くいもの処 明楽」を舞台に繰り広げられる、年下の生意気なバイト店員・鳥原×30代男子の店長・明楽のやり取りは、ちょっとアホで、殺伐としていて、どこかリアル。キャラクターの言動が現実でもあり得そうだから、「こんな人、どこかにいそうだな」と思わせてくれるのが、ヤマシタトモコ作品の魅力です。
「FEEL YOUNG」で現在連載中の『ひばりの朝』は、男からは性的な目で見られ、女からは好かれない、女子中学生・手島日波里と、彼女と関わる同級生や教師、従兄叔父の心の内に秘められた、薄暗い想いが語られていく作品。やっぱり、どのキャラクターも言動がリアルなので、読んでいて背中がざわつくような怖さを感じます。
人間関係が物語の主軸にあるBLを描いてきたからこそ、リアルな人間関係を描くことができるのかもしれませんね。ちなみに、ヤマシタトモコは『HER』、『ドントクライ、ガール』で、「このマンガがすごい! 2011 オンナ編」の第1位・第2位独占という快挙も成し遂げています。今後、ブレイク間違いなし! マンガ好きならチェック必須です。
気になる作品やマンガ家はいましたか? 「いきなりBLを読むのは勇気がいる」という人でも、女性誌や青年誌を読んで好きになったマンガ家のBL作品なら、そのマンガ家のルーツを垣間見ることもできて、きっと楽しく読むことができるはずですよ。気になるBL誌出身のマンガ家をみつけたら、ぜひ、BL作品もチェックしてみてくださいね。