「岩中豚の甘い脂を楽しんでもらいたいのでトリュフ塩も用意しています」と原店長。
育ちが悪いので、ついソースの海にトンカツを浮かべてしまいがちだが、トリュフ塩につけてみた。塩で肉の甘味が強調されるではありませんか。しかも香り高きイタリア産のトリュフ塩。一瞬、ごま塩だと思った自分が恥ずかしい。
次に特製ソースを付けて食べてみた。なにやら生姜の香りが漂っているではありませんか。
「生姜の風味豊かな、自家製ジンジャーソースです。豚肉と生姜は相性がいいので、ソースに生姜を配合しています」
定食にはご飯の他、漬物と豚汁が付いている。米は山形のつや姫。店内で毎日精米している。おかげでご飯が光っているし、香りも抜群。おかわり自由。
豚汁には4種類の味噌を配合している。
「ゴボウ、ニンジン、ジャガイモなどの野菜もすべて店内で仕込んでいます」
トンカツも旨いけど、味噌の風味が豊かで、コクがある豚汁がいいなあ。別途300円でおかわりができる。
暖簾、カウンター、厨房。トンカツ屋にはこの3点セットがつきものだ。ところが、あげ福には、カウンターと厨房こそあれ、トンカツ屋らしからぬ内装だった。聞けば、イタリアンなどを手がけるデザイナーが担当したという。
ディナータイムになると、照明を落とし、ワインバーのような店に変身するらしい。ワイングラス片手にトンカツをお召し上がりになる淑女も多いそうな。
せっかくなので赤ワインのアテに「和牛メンチカツ」を頼むことにした。自称ハンバーグ王子は、メンチも大好物。肉汁あふれるメンチカツが大好き。ヤザワミートの直営店であれば、メンチカツもさぞや旨いに違いない。
ステーキ用におろしたA5ランクの国産黒毛和牛の様々な部位をミンチにし、それに塩コショウ、ナツメグ、玉ねぎ、牛乳で味付け。それを手ごねにしたタネを焼いたのがミート矢澤の、肉汁たっぷりなハンバーグだ。それとほぼ同じタネにパン粉を付けて揚げたのが、あげ福の和牛メンチカツである。