『小学8年生』という雑誌をご存知でしょうか。
小学1年生でなければ6年生でもない。そんな不思議な名前の雑誌を出版しているのは、学習雑誌『小学一年生』でおなじみの小学館です。
埴輪を作れる粘土のキットや、美文字が書けるペンなど、子どもはもちろん、親の心もくすぐるユニークな付録がついていることでも話題になっています。
そこで、編集長の齋藤慎さんに、雑誌『小学8年生』が生まれたきっかけから、付録作りの苦労、そして本物のロボットを付録にした『特別号』のお話までをたっぷりお聞きしてきました。
『小学8年生』という名前にこめられた想い
「デジタル数字の『8 』は、1から6すべての数字に変身できるんです。そして、8は横にすると無限の『∞』にもなります」
小学8年生の名前の由来を、斎藤さんはそう話します。小学館では長きにわたり、『小学一年生』から『小学六年生』までの名前をつけた学習雑誌を全国の子どもたちに届けてきました。しかし、少子化などのあおりを受け、現在残っているのは『小学一年生』のみとなってしまいました。
そんな中、生まれたのが、小学校の全学年をターゲットにするという画期的な『小学8年生』でした。2016年の夏に試験的に出した最初の号が好評だったことで、2017年2月、『小学8年生』がスタートしました。
ひと手間加えて楽しむ付録で達成感を実感できる!
学習雑誌のお楽しみといえば付録ですが、『小学8年生』には毎号魅力的な付録がついています。
しかし、作る側にとっては、付録のアイデア出しにはとても苦労しているそうです。
「『小学8年生』は、これまでの学習雑誌と異なり、購入する読者が毎年入れ替わっていくわけではありません。ですので、過去の付録をアレンジするといった応用がきかないのです」と齋藤編集長。
付録によって売れ行きが変わるといわれるほど、雑誌にとって付録の存在は重要です。
「実は、『小学8年生』の付録は、切り口や工夫によって成り立っています。2号の付録『消しゴムはんこ入門キット』などはおなじみのものですが、それをどこまでおもしろくアレンジできるか、そして読者に伝えられるかが肝なのです」。
たとえば、人気のあった1号の『手作りチョーク&黒板ノートキット』では、チョークを自分で作ることができます。学校にあるチョークは細長い棒状のものですが、このキットなら、どんなチョークを作ってもオーケー。
写真のような食べ物型のチョークも作ることができ、創造性がひろがっていきます。
4号の『手作り土器キット』では、土器や埴輪を手作りするという、今までにない付録を提案しました。さらに粘土を買い足せば、写真の土器のような大作を作り上げることも可能です。
「これも、商品としては世に出回っているものですが、あえて付録名を『手作り土器キット』とすることで、楽しさを広げています。自分のアイデアで手を加えることによって、いろいろなものを作り上げることができます」(齋藤編集長)
『小学8年生』では、一貫したこだわりをもって付録を作っています。それは「ひと手間加えることで楽しくなる」ということ。
「できあがった完成品をただ付録としてつけるのではなく、付録を使いこなせば楽しみがどんどん増えていくものにしているのです」。