水谷さんを見て、作品は楽しんで作るのがいちばんだと思った

撮影/須田卓馬

――改めてですが、俳優として大先輩である水谷さんの監督作品に出演し、演出を受けるということは、町田さんにとってどのようなものでしたか。

やっぱり俳優のことをよく理解されていますので、どういう演出をしてもらえるんだろうと楽しみでした。水谷さんは佇まいが本当に素敵なんですよね。いつも朗らかで、何より作品づくりを楽しんでいらっしゃるんです。その姿勢が本当に素敵で。作品は楽しんで作るのがいちばんだなと改めて思いました。

――ちなみに、水谷さんからは何と呼ばれていましたか。

確か衣装合わせのときは「町田さん」だったと思うんですけど、そこから役名で「圭介」と呼んでいただけるようになって、最終的には連絡先を交換しようと言っていただき、今では「啓太」と呼んでいただいています。そうやってコミュニケーションを取ってくださることが本当にうれしかったですね。

撮影/須田卓馬

――水谷さんから言われてうれしかった言葉はありますか。

確か車で移動しているときだったと思うんですけど、水谷さんが僕のお芝居について「本当に面白いよ」と言ってくださったんですね。もちろん役者のモチベーションを上げるための気遣いだと思うんですけど、そうやって直接褒めていただけるのは自信にもつながるし、愛情のある方だなと思いました。

水谷さんは現場でも面白かったらカットがかかる前に「ははは」と笑われるんですよ。水谷さんが笑ってくださると、少しは期待に応えることができたのかなとうれしくなりますね。

――以前から町田さんは監督業にも興味があるとおっしゃっていましたよね。俳優をやりながら監督もされる水谷さんの姿を間近で見てインスパイアされるところはありましたか。

水谷さんが「監督をやってみると、見える景色も違うし感じることも違う」とおっしゃっていたんですね。それってどういう感覚なんだろうなという興味があるので、願望としては自分もいつかというのはありますね。でもそれはあくまでいつかの話で、どういう作品かというイメージもまだ自分にはないですから。

とにかく今は今やれることを一生懸命やっていくだけ。そうすれば、もしかしたらいつかそういう未来につながるかもしれない、くらいの気持ちで考えています。