パンの名前と小麦の品種を、パンの絵といっしょに紙袋に書いて渡してくれるパン職人がいる。小麦はすべて国産。
紙袋に絵と文字を書く西野文也さんに小麦への愛と、自分が焼いたパンに対する深い愛情を感じた。
『チェスト船堀』の開業は2019年。オープン間もない頃パンを買いに行ったが、絵や文字が書かれた紙袋をもらった覚えはない。
西野さん自身いつ頃から始めた習慣なのか記憶にないという。
即興で紙袋にパンの名前や小麦の品種を書いてくれる
「お客様が小麦の品種を知ってくれたら面白いと思って書き始めました」
開業当初は4〜5種類の小麦を扱っていたが、現在は約10種類の小麦を各地から取り寄せているという。
パン好きならば、キタノカオリ、はるゆたか、春よ来いに代表される新品種の小麦が北海道で栽培されていることをご存知だろう。
国産小麦「柳久保小麦」にこだわる
片や、パン好きはもちろん、パン職人でさえまず知らない品種がある。柳久保小麦だ。
「江戸時代から武蔵野で栽培されてきた在来品種です。東久留米で育てている農家から直接購入しています」
近年、国産小麦を扱うパン屋が増えてきたが、『チェスト船堀』ではブレンドせず、単一品種で約10種類のパンを焼いている。
試すならコレ!店主「おすすめのパン」5選
そのなかから西野さんおすすめのパンを5つ紹介してもらった。
まずは、「柳久保バゲット」から。形もユニークだが、味わいも際立っていた。
若干酸味を感じたが、醤油のような風味があり、とても香ばしい。そのまま齧るのがいちばんうまいと思った。
西野さんは「柳久保バゲット」の他、2種類のバゲットを焼いている。
「ねばりごし(青森産)のバゲット」、「ニシノカオリ(熊本産)のバゲット」だ。
3種類の焼き方が同じなのかどうなのかわからないが、同じバゲットでも焼色がまったく異なる。
「柳久保バゲット」しか食べなかったが、小麦の品種で味わいが異なるのかどうか、次回は食べ比べをしてみたいと思った。