そして次に最大のポイントが待っていた。

「赤身のお肉は脂の多い肉と違って、すぐに食べてはいけません」

ええーっ?
 

「焼きたての赤身肉は、お肉が緊張しています。すぐ食べるととても硬いんです。
だから焼いたらラップをして5分置きます。
その間にお肉の柔らかさが戻ってくるんです」

試食させてもらうと、これが赤身肉?!と思うほど柔らかい。

 

 

 

では庶民に一番なじみのある薄切り肉の赤身肉はどう焼いたらいいの?

取材時は食材の準備の都合で厚切り肉で実演してもらっているが、焼き方の基本は同じだという。

 

東京、池ノ上の焼き肉の名店「韓てら」のシェフによると、

「焼き肉を食べる時は、相手の顔を見ないで肉を見る。会話する時も肉から目を離しちゃダメです」と、まずは基本の鉄則からスタート。

「薄切り肉はまず、さっと片面を焼く。薄い膜ができたら、すぐに裏返します。また膜ができたら裏返す。これを100回くらい繰り返すつもりでやってみてください(笑)」とシェフ。

これが薄い膜!編み目の模様がついているがわかるだろうか。

つまり網の上で“しゃぶしゃぶ”するのがポイントだというのだ。

これまでの片面からじっくり焼く焼き肉は間違っていたの?!
 

「この方法でいけば均等に熱が入り、赤身肉も柔らかくいただけます。片面だけ焼き過ぎて、反ってくるようではダメ」。

右のお肉が膜をつくって2、3回返した状態。左の生状態と比べてほしい。

その後の焦げ目具合はお好みで。
ただし炭から煙が出たら、よく焼けてますよ。煙は焼き過ぎ注意、というサインだという。

赤身肉は脂の多いカルビなどと違って焼きすぎる必要はないというので、焦げる前に旨味をじわっと味わってほしい。
 

ちなみにこの日、焼いてみたのは
ニュージーランド産の「牧草牛」という肉。

実は牛には2種類しかいないそうだ。
穀物を食べる牛と、牧草を食べる牛。

穀物牛の主食はトウモロコシなどの飼料。
要は炭水化物を食べた脂のりのいい肉が得意。

 一方、牧草牛はクローバーなどの草などを食べる。
人間でいえば野菜を食べて育ったといえる。

牛は牧草地を駆け巡っているので筋肉質。牧草牛なら赤身具合には自信ありというわけだ。

 

赤身肉って奥が深いんですね。
この夏はなんだか赤身肉にはまってしまいそう! 

…ということで今回はお肉の写真てんこ盛りでした。

 

ほんま・みき キッチン、インテリア、デザインに関する執筆、企画、編集を手がけるエディター&ライター。食と暮らしを結ぶ具体的なもの、こと、考え方の取材が特に得意分野で、キッチンジャーナリストとしても活動中。独立前は老舗系インテリア専門誌の編集部に勤務。床壁、家具から雑貨まで住まい関わるものはすべて取材経験あり。手がけた本に「ザ・リアルキッチンガイド」「マイスタイルキッチン」「インターナショナルキッチンAtoZ 」「リノベーション物件に住もう!~超中古主義のすすめ」など。ブログ「キッチンのこころ