ダリが描いた挿絵も公開!

手前4点/サルバドール・ダリによる『不思議の国のアリス』挿絵 撮影/内田涼

3つ目のセクションは「新たなアリス像」と題され、サルバドール・ダリ、ジョン・クラクストン、マックス・エルンスト、マリオン・アドナムスら20世紀を代表するアーティストたちが、『不思議の国のアリス』が内包する影の側面や、無意識への旅に刺激を受け、インスピレーションを発揮した作品群を展示。

ジョン・クラクストン『海岸沿いの庭の少女』、マックス・エルンスト『小説「慈善週間」の挿絵』、マリオン・アドナムス『命の宿る木』『失われた女王』 撮影/内田涼

強い意思と批判精神を兼ね備えたアリスが、シュルレアリスムやカウンターカルチャーの反権威的精神のシンボルへの昇華されたユニークな美術史を味わいたい。

左から/アリスの衣装(オペラ『アリス』より)、白うさぎの衣装(ミュージカル『ワンダー・ドット・ランド』より)、アリスの衣装(ミュージカル『ワンダー・ドット・ランド』より) 撮影/内田涼

さらに不思議の国への歩みを進めると、奇抜なコスチュームが目に飛び込んできた。ここは4つ目のセクション「舞台になったアリス」。原作に忠実な内容から風刺やパロディー、現代の観客用に翻訳されたものまで、舞台化されたアリスの歴史が、舞台衣装やセット模型、公演ポスターなどを通して紹介されている。

『不思議の国のアリス』にインスピレーションを受けた華麗なるファッションの世界 撮影/内田涼

そして冒険の締めくくりを飾る最後のセクション「アリスになる」では、ヴィヴィアン・ウエストウッドのアンサンブルや、ヴィクター&ロルフがデザインしたマッド・ハッター(狂った帽子屋)の衣装、日本の「パンク・ロリータ」衣装などを展示し、華麗なる不思議空間を体験させてくれる。

出会えたらラッキー? あらまあ! チェシャー猫 撮影:山本倫子(主催者提供) 撮影/内田涼

原作の世界観に没入できる遊び心あふれる展示演出は、子どもから大人まで『不思議の国のアリス』の世界を心ゆくまで楽しめるはず。

誕生からおよそ160年――。今もなお、さまざまな分野の独創的なアイデアを触発し続けている『不思議の国のアリス』の、まるでウサギ穴のような“底知れぬ”魅力をぜひ体感してみては?

開催情報

『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』
2022年7月16日(土)~10月10日(月・祝)、森アーツセンターギャラリーにて開催