高良を演じるのは本当に難しかったと思います
――演じる上で意識していたことはありますか。
織山:天城くんの癖のようなものを出すことは意識していました。目線の切り替え方とか、言葉遣いとか。アドリブも多かったので、語尾をかわいくするとか、ハッピーな時はこういう言葉をよく使うとか、そういう使う言葉をある程度決めておくこともありました。
佐藤:僕もしゃべり方ですかね。これまで舞台のお仕事が多かったので、演技が舞台仕込みになっていて自然と大げさになってしまうんです。
本読みをした時に、監督から「もうちょっと力抜いていいよ」「もっと感情を入れないでさらっと言ってごらん」って言われて。それでさらっと言ってみたら「それでいいよ」と言ってくださったんですけど、僕からしたら「えええっ!」みたいな(笑)。
そのくらい感覚が違っていたので不安でした。カットがかかる度に「これで良かったのかな?」って思っていました。
――お互いに相手の演技をどう見ていましたか。
織山:高良を演じるのは本当に難しかったと思います。セリフが「うん」とか、「おー」とか、ほとんどないんですよ。その上、表情で感情を伝えるかって言ったらそうでもなくて。温度感が難しいんですよね。
静かになり過ぎるとホントにヤバイ奴になっちゃうし。騒ぎすぎると原作と変わってきてしまうし。二次元じゃない、実写という形でこれをどう伝えればいいんだろうって、この空気感をどうすれば出せるんだろうって。そこは僕も悩んでいた部分でもあったんですけど、高良は特につかめないというか。
佐藤:難しかった。
織山:大変そうだなって。
佐藤:これまで舞台、ドラマ、映画とやらせていただきましたけど、こんなに一つの役に対して悩んだのは初めてでした。
――佐藤さんは織山さんの天城くんをどう見ていましたか。
佐藤:僕の何倍ものエネルギーを消費してお芝居をしているなと思いました。天城くんはめっちゃ泣いたかと思えば、急に軽い調子になって、またシリアスになってとか、本当に感情の上下が激しいんです。
僕も以前、『いまを生きる』という舞台で障害を持った男の子の役をやらせてもらったんですけど、感情の上下が激しくてすごくエネルギーを使って大変だった記憶があるんです。だから近くにいながら「大変だろうな」と思って見ていました。
あとは僕の勝手な評価ですけど、お芝居も上手ですし、監督が求めるものに120点を出していたなって思います。
――本作を通して「ここは挑戦的だった」と思うところはありましたか。
佐藤:先ほども少し言いましたけど、僕は舞台のお芝居に慣れてしまっていたので、ドラマのナチュラルな世界観でのお芝居自体が挑戦でした。難しくもありましたけど、楽しかったです。
織山:僕的な壁は原作ファンの方がいるということでした。実写化をする上で、原作の作者のはなげのまいさんの思いと、今回の監督である吉野(主)さんの意見と、あとは僕と新の意見もあって、4方向からの想いをどうすればいいのかというのは悩みました。
その中でも原作ファンの方がどう思うかということは、すごく考えながら取り組みました。
佐藤:原作の売上とかダウンロード数とかを聞いてしまうと「ひえ~」みたいな(笑)。「俺らがやるの? これ?」って。僕は一人で家中を歩き回ってソワソワしていました。
織山:わかる! 数がすごいよね。
佐藤:ファンの方が多い分、「ここはもっとこうだったかな?」「この方がファンの方は喜んでくれたかな?」とか、めっちゃ考えました。
織山:ただ僕らが事前にいくら考えたとしても、現場に行ってみないと雰囲気であったりとか、その場でしかわからないことも多かったので。そういう意味で、その場での選択を迫られるような大変なシーンもいくつかありました。