強く影響を及ぼし合う“光”と“闇”

撮影/川野結李歌

――定と桜木は真逆の人物ですね。

僕はこの作品の大きな軸になっているのが、表舞台である“光”と裏の世界である“闇”だと思っています。そしてこのふたつは、反するように見えてお互い強く影響を及ぼし合っている。

劇中に「表をきれいにすればするほど、裏も汚さなくちゃいけない」という台詞があるのですが、これこそ僕は本作のテーマをよく表していると思っていて。それは桜木と定にも言えることで、桜木としての時間が定としての時間に影響を及ぼし、その逆も然り。そのお互いにエネルギーを与え合っていく、みたいな部分は大事に演じていけたらと思います。

撮影/川野結李歌

――役を構築していく上で、最初の手がかりになりそうなのはどんなことだと思いますか?

これはどんな役にも言えることですが、例えそれがわずかであっても、やはり自分との繋がりにしか、役との懸け橋はないと思っています。今回桜木輝彦、鳴尾定を演じるに当たっては、自分自身のトラウマであったり、思い出したくない過去や記憶に触れていかないといけないのではないかなと。自分のこととして役を知る、という意味では、それがすごく大事になってくると思うので。

もちろん非常にきつい作業ですし、暗いトンネルを進むような時間が長く続くかもしれません。ただ自分を利用しながら役へと昇華させていく時間というのは、大変であればあるほど、やりがいも感じられると思います。