ボリューミーなサンドイッチが自慢です

それにしても三杯鶏をはさんだ「台湾風鶏&バジル&たまごサンド」(600円/以下すべて税込で、価格が変わる可能性も)はボリュームがある。彩りに添えるレタスの大きさも半端ない。
美玲さん曰く「ケチケチしないんです」とのこと。

「クロワッサンドッグ」(560円)もボリューミー。太いソーセージをはさんだクロワッサンにフライドオニオンを散らし、その上にとろけるチーズをかけてオーブンで焼いたサンドイッチだ。
なぜこんなに大きなサンドイッチを作るか。
「子どもの頃いつもお腹をすかせていました。おいしいものを食べてお腹いっぱいなってほしいと思っているので、うちのサンドイッチはボリュームがあるんです」
「口内調味を愉しめるパン」が美怜さんの信条
昨今、口内調味を実践するレストランが増えている。考えてみれば、美玲さんが得意とするサンドイッチも口内調味だ。
いろいろな食材をはさんだパンを齧り、複雑な味わいを愉しむという意味ではサンドイッチも口内調味といってもいいだろう。
サンドイッチでこそないが、美玲さんのパンは複数の食材をパン生地で包み、焼いたり揚げたものが多い。

たとえば、「きなこ、ほうじ茶生地、ゴマクリーム、求肥」(460円)。
どんなパンなのか、美玲さんに説明してもらおう。

「ほうじ茶を使ったパン生地にゴマクリーム、求肥を包みます。生地に太白ごま油を塗り、少量の油で揚げ焼きにし、仕上げにきな粉をまぶしてあります」
そのため表面がカリッとしている。ごまこそまぶしていないが、調理方法としては、中国料理のごま団子や、あんドーナツ的なパンなのかもしれない。
和菓子の発想をパンに取り入れた不思議な味
「このパンが大好きなんです。子どもの頃和菓子があまり好きではありませんでしたが、いまは和菓子に使われる食材を組み合わせたパンを考えています」

もうひとつ。和菓子の要素を取り入れた「和(なごみ)」(530円)を紹介する。
よもぎを練り込んだパン生地できなこペースト、大納言黒豆、白玉を包み、白と黒のごまをまぶして焼いたものだ。

ごまがついているのでサクサクで芳ばしい。ところが、噛んでいると味わいが徐々に変わっていく。
なんだろうこの味? 何かに似ている。そうだ、お汁粉だ。
お汁粉にはごまもよもぎも使わないが、汁なしのお汁粉に似ていると思った。