乙支路4街のシュポ「トンイル食品」の夜景。この店の食料雑貨店と飲み屋の比率は7対3

私が日本からの旅行者を対象に行っているパーソナルツアー「ソウル大衆酒場めぐり」でも、1軒目はシュポに行くことが多い。

酒は冷蔵庫から勝手に持ってくる。缶ビール(500ml/355ml)、瓶ビール(500ml)、ペットボトル(1600ml程度)など、よりどりみどりだ。

一部のシュポでは生ビールも提供している。もちろん、生マッコリやソジュを飲んでもいい。

つまみは、店で売っているポテトチップなどの袋菓子や缶詰を選んでもいいし、店によっては、簡単に調理したつまみを頼むこともできる。

ケランフライ(目玉焼き)やコルベンイムチム(巻貝を辛く和えたもの)などが一般的だ

「テボンマートゥ」の瓶ビールと乾きもの(ピーナッツと煮干し)

店が小さいので、隣席で飲んでいるおじさんたちと自然と言葉を交わし、気が付いたらビールを注ぎ合っているなんてことも珍しくない。

会計しようと思ったら、「いや。オレにまかせろ」なんておじさんに制止され、おごってもらっちゃったなんてこともある。

今の季節なら店先の路上にプラスチックのテーブルを置いている店も多いので、そこに陣取って飲むのもいい。日本より少し乾燥している韓国の空気は、ビールをより美味しくしてくれるだろう。

フォトギャラリー江北エリアのおすすめグルメフォトギャラリー
  • 「チョンイルチプ」のピンデトックはマッコリと合わせて
  • 「チョンイルチプ」のサイドメニュー、エイと生牡蠣の盛り合わせ
  • 腸詰(スンデ)
  • ソジュやマッコリに合う茹で豚肉(スユク)
  • 「チョンイルチプ」でピンデトックを焼く2代目女将イム・ヨンシムさん
フォトギャラリー【ソウル】ビール天国!おすすめを写真でさらに見る
  • 乙支路3街駅11~12番出入口の南側にはかつてコルベンイ横丁があった。コルベンイとはツブ貝のことで、缶入りの身を干し鱈やネギとともに唐辛子やニンニクのソースで和えたもの。韓国ではコルベンイにはビールと相場が決まっている
  • スーパーのビール売場。クラフトビール(左手)だけでなく、海外のビール(右手)も豊富
  • コンビニの冷蔵庫には缶のデザインも洒落ているクラフトビールがいっぱい
  • 最近はソウルだけでなく、地方にもクラフトビールの専門店ができている。写真は慶州(キョンジュ)で土日だけ営業する「weekend common」でくつろぐ筆者
  • 夏になると、乙支路3街の路地裏はプラスチックのテーブルで埋め尽くされる。昨年、「OBベオ」や「ミュンヘン」が撤退し、「満船HOF」の一人勝ち状態で、店の選択肢が少ないのが惜しい。ガーリックチキンが20000ウォン、砂肝14000ウォン

安く飲むことを追求すると、コンビニで買った酒を店先のプラスチックテーブルで飲むことに行き着くだろう。騒いで営業妨害でもしない限り、とがめられることはない。

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。