「好き」はどこで証明されるのか
ふたりの現状を見てみると、「両思いとわかる前より心理的にも物理的にも距離ができている状態」で、週末にどちらからデートに誘うこともなくLINEで短いやり取りをするのみ、そこでも「好き」といった言葉はなく、会わない時間が増えています。
男性の気持ちを想像すると、すぐ付き合うことを避けて「お互いを知っていきましょう」と言ったにも関わらず前より積極性を失っているAさんを見て、不安を感じているのかもなと思いました。
男性にとっても、両思いになった自分はAさんと等しく未知の領域にいます。もしからしたら自分はもっとAさんと過ごす時間がほしいと思ってもそれを出せていない可能性もあるのです。
拒否されたくない、自分だけが好きなのだと思いたくないのは当たり前で、どうしても相手からのアクション待ちになるのは、男女関係なく同じこと。
そこをどう乗り越えるか、向き合わないままで今の状態を続けるならいずれ好意が萎えていく流れにしかならず、非常にもったいないと思いました。
「『好き』はどこで証明されるのでしょうね」とふとつぶやくと、Aさんはこちらを見たまま「伝えることですよね。言わないとわからない、は仕事でもよく感じますが、彼ともそんな話をしたことがあります。ふたりで『好きなら言えるよね』と笑いました」と、はっきり答えました。
それがわかっているのなら、現状を変えるにはどちらかが先に動くしかなく、それは男だから女だからではなく素直に「あなたを好きな自分」を認めた側ができること。
そう言うと、Aさんは無言でうなずきました。
「あなたを好きな自分」を知られることを、両思いになっても避けたがる人は実際にいます。
両思いになったからこそ、「好きならこうするはず」と相手が証明してくれることばかりに躍起になり、自分が伝える側になるのを忘れるのですね。
「応える側」になりたがるのは抱える気持ちに自信がないから、好かれている自分を見てからでないと動けないという弱さです。
ふたりがその状態になれば関係が良い方向に進むはずがなく、本音はどんどん引っ込み、いつの間にか「好意を証明するゲーム」のような言葉のやり取りになる人も見ます。
そうではなく、みずからが「あなたを好きな自分」にしっかりと胸を張る強さが、関係を相手任せにせず居心地のいい距離感を考える基本になります。