「苦しい過去」が甦るのは現在をきちんと生きようとしているから

筆者の経験で恐縮ですが、過去は他人にひどく依存しており、自分の価値を感じるには相手の好意や愛情が必ず必要でした。

自分の在り方を他人に委ねるのは危険なのだと気づいてから、人との間に境界線を引く、自分と相手の気持ちを等しく尊重する姿勢で関わる意識を持ちました。

それからは男女関係なく居心地のいいつながりを持てる人が増えましたが、今でも当時の相手を傷つける無様な自分が浮かんできては、「今もやっぱりダメな自分」への恐怖が消えません。

楽しいときほどその心に蓋をするように「ダメだった自分」が手を伸ばしてきますが、気がついたのは「その頃とは違うからこそ痛みを受けるのだ」ということです。

もしそのときの心のままであれば、過去の自分について「間違っていた」「おかしかった」と感じることはなく、何かを思い出してもショックはないはず。

今は違うから過去の自分を思い出すと苦しくなるのであって、現在をきちんと生きる姿勢を持てている証拠なのでは、と考えました。

変わったからこそ「そうではなかった過去」がつらく、思い出すのは「繰り返すなよ」という心のサインかもしれません。

そう思うと、何かあると心をよぎる醜い自分の姿は、今の自分の在り方を改めて考える機会になりました。