2023年10月からの改正は改悪なの? 変更点を検証

総務省が発表した「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」によれば、2023年10月より、ふるさと納税は以下の点が改訂されました。

これらの改訂は、「改悪」というより、ふるさと納税制度の本来の趣旨(地域貢献等)にそった運用を実現するための変更と言えるでしょう。

1:「5割ルール」の変更

5割ルールとは「寄付にかかる経費の総額を、寄付額の5割以下にする」ことを定めたルールです。 しかし、実際にはこのルールに不明確な部分があり、5割超の自治体が存在する可能性もあることから、自治体間で寄付割合の格差が生まれないように費用のルールが明確にされました。

2:地場産基準の変更

原材料が他の都道府県産でも、主要部分の加工・製造を自治体内で実施することで、原則的に「地場産品」として認めていたのですが、今回の改訂では、精米と熟成肉について、主要部分の加工・製造のみならず「原材料も同じ都道府県産であること」が求められるようになりました。

また、他地域産の品と地元産の品のセット商品で他地域産の品が多いものは返礼品の対象から除外されるようになりました。

5割ルールが変更されたことで、新基準で経費率が5割を超えていた自治体が、返礼品の金額を減らすことで新基準のルールを守るようになることから、制度が改悪されたと言われることもあるようです。

しかし一時的にはやむを得ないかもしれませんが、地元の生産者にしわ寄せがいかないように、制度を運営する各事務費用や広告宣伝費用や配送費用などはさらなる事務の効率化やAIなどの技術の活用によって、費用を抑えつつ、返礼品の魅力を高めていくように自治体も工夫と努力を積み重ねていくことを期待したいと思います。

このように本来趣旨に沿った運用になるように変更されたものであり、本来の趣旨を損なうようなルール変更があったわけではないことはご理解いただいたうえで、今一度ふるさと納税の理念を確認し、自分の大切なお金の使い道の一つとしてふるさと納税を活用してみてはいかがでしょうか?

【執筆者プロフィール】計倉 宗州(とくら そうしゅう)

キッズ・マネー・ステーション認定講師/DCプランナー/ファイナンシャルプランナー
子供達にはお金を稼ぐことを人生の目的とするのではなく、稼いだお金で自分らしいお金との付き合い方をみつけ、自立して堂々と生きていく“おとな”になってもらいたいと考え、都内及びつくば市を中心に自分らしさを見つけるワークショップや個別相談を行っています。

「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2023年までに2000件以上の講座実績を持つ。公式サイト「キッズ・マネー・ステーション