海の女神を祀る廟は3階建て

【台湾食べ歩きの旅 #9】港の正面に構える媽祖廟からの眺め。三重、四重に漁船が横付けされた様子は圧巻だ。これは第3漁港で、南方澳にはほかにも第1、第2漁港がある

蘇澳に日本からの移民が暮らしたのは戦前の話だが、今は台湾全土で東南アジアからの移民が急増している。

ここ南方澳も例に漏れず、停泊中の漁船でトランプ遊びに興じる休憩中の漁師たちは、多くが東南アジアの若者だった。

手を振るとくったくのない笑顔を返してくるが、北京語はあまり通じない。

これだけの漁港となれば、必ずや海の女神、媽祖(まそ)様を祀った「媽祖廟」があるだろう。

そう思って少し歩くと、港の中心部に人の集まるテントのようなものが見えてきた。

廟の前で何やらイベントをやっていたのだろうか。たくさんの生花が置かれている。

【台湾食べ歩きの旅 #9】南方澳の媽祖廟(南天宮)の2階には翡翠でできた媽祖様が鎮座する。全身緑色の媽祖様は他では見たことがない

南方澳の媽祖廟は3階建てで、1階、2階、3階それぞれに媽祖様が鎮座しているのだが、階を上がるごとにレベルも上がっていくようで、2階は翡翠でできた媽祖様、最上階には黄金にきらめく媽祖様がいる。

とくに黄金の媽祖様はご利益があるらしく、遠方から参拝に来る人も多い。

台湾有数の漁港とあって、船乗りたちを見守る媽祖様も3人体制ということか。

【台湾食べ歩きの旅 #9】南方澳漁港の食堂で食べた刺身盛り合わせ

漁港には食堂もあったので、刺身の盛り合わせの最小単位を食べて蘇澳に戻ってきた。

(つづく)

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みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。