『宮廷女官チャングムの誓い』©2003-4 MBC

さまざまなドラマが彩ってきた韓流20年――。その初期のころから老若男女を問わず愛されて、韓流人気をけん引してきたのが時代劇だ。中でも『宮廷女官 チャングムの誓い』が果たした役割は大きい。魅力あふれる登場人物が織り成す波乱万丈の骨太のストーリーは、それまで韓国ドラマを見なかった視聴者層にもアピール。宮廷料理人が主人公ということから、韓国料理へも興味の幅を広げ、多方面に大きな影響を及ぼした。

日本のみならず、各国で一大ブームを巻き起こしたこのドラマを手掛けたイ・ビョンフン監督は、韓国ではすでに『ホジュン 宮廷医官への道』を大ヒットさせていた。監督の作品はその後次々に日本でも紹介され、特に『イ・サン』や『トンイ』は『宮廷女官 チャングムの誓い』に劣らぬ人気作として、今も高い支持を得ている。

史実とフィクションを巧みに融合させて作り出す監督作の、他に類を見ない面白さは時代や主人公が変わっても一貫している。主人公を襲う危機また危機、伏線を張り巡らせた先の読めないストーリー、視聴者の喜怒哀楽のツボを押さえた演出が、常に変わらない魅力だ。また、『トンイ』のハン・ヒョジュら多くのスターが監督作から生まれ、脚本家や後輩監督がその下で育ってきた。イ・ビョンフン監督なくして、韓国時代劇の隆盛はなかったと言い切ってもいい。そんな“時代劇の名匠”のヒット作の数々が、このほどBS日テレで制作順に一挙放送される。この貴重な機会をお見逃しなく!

▼ラインナップ

第1弾『ホジュン 宮廷医官への道』

『ホジュン 宮廷医官への道』©MBC 1999/2000 All Rights Reserved.

16世紀半ばから17世紀初頭、低い身分から御医へと出世を遂げた実在の名医の生涯を描いたイ・ビョンフン監督最初のヒット作。ホジュン役のチョン・グァンリョルは国民的俳優に。両班の庶子として生まれたジュンは、将来に希望が持てず密貿易に手を出して捕まる。父の助けで母と逃げたジュンは新天地で名医ユ・ウィテに出会い、医学を志す。ウィテの下で厳しい修行に励んだジュンは、紆余曲折を経て宮廷医官となる。

 

第2弾『商道 サンド』 11月20日(月)スタート

『商道 サンド』©2001MBC

朝鮮時代末期、人参貿易で巨万の富を得、それを社会に還元した巨商イム・サンオクの成功物語。人気作家チェ・イノが発表した経済小説をベースにした脚本は『ホジュン…』に続きチェ・ワンギュが担当した。清に向かう商団に加わったサンオク父子は、豪商のチュミョンに密輸の濡れ衣を着せられ、父が処刑されてしまう。自らも奴婢となった彼は、チュミョンを見返す商人になることを誓ってライバル商団に身を寄せる。

 

第3弾『宮廷女官チャングムの誓い』 2024年1月4日(木)スタート

『宮廷女官チャングムの誓い』©2003-4 MBC

16世紀初頭、宮廷料理人から困難を乗り越えて王を診察する医女にまでなった女性の波乱の人生を描いた時代劇の金字塔的作品。1行しかない史料の記述から着想を得て作られた。幼いころ両親を失ったチャングムは母の遺言で宮廷料理人を目指し、宮中の水剌間に入る。厳しくも優しいハン尚宮の下で料理の才能を開花させていくチャングム。間もなくハン尚宮のライバルで水剌間を牛耳るチェ尚宮らと対決することになる。

 

第4弾『薯童謠 ソドンヨ』 2024年放送予定

『薯童謠(ソドンヨ)』©SBS

百済第30代王・武王と新羅の王女・ソンファ姫を歌った『薯童謠』をモチーフに、主人公が王位に就くまでの苦難と恋模様を描いたロマンス作。チョ・ヒョンジェとイ・ボヨンが主役を務め、脚本は『…チャングムの誓い』のキム・ヨンヒョンが手掛けた。自分が百済の威徳王の息子だと知らず、市井に育ったチャン。成長後は技術者となり、幼いころ出会ったソンファと愛し合うようになるが、彼女は敵国・新羅の姫だった。

 

第5弾『イ・サン』 2024年放送予定

『イ・サン』©2007-8 MBC

朝鮮第21代王・英祖の孫として生まれたイ・サンが、王・正祖となるまでの過酷な道のりと王となってからの苦悩を、側室となるソン氏との愛を絡めて描く。監督作中最長の77話を数えるヒット作。イ・ソジンの人気も再燃した。祖父・英祖によって父が死に追いやられたサンは、次の王候補だが周囲を政敵に囲まれていた。何度も命の危険にさらされた彼は、幼いころに友情を誓ったソンヨンとテスの助けを得て敵に対抗する。

 

第6弾『トンイ』 2024年放送予定

『トンイ』©2010 MBC

イ・サンの曾祖母で英祖の生母にあたる淑嬪チェ氏の人生を、ほぼ史料がない中で『イ・サン』の脚本家キム・イヨンが大胆に創作。ハン・ヒョジュが監督の期待に応えてヒロインを演じきった。無実の罪で処刑された父と兄の無念を晴らすため、幼くして素性を偽り宮廷に入ったトンイ。奴婢として成長後、王・粛宗が寵愛する側室オクチョンを救ったことから彼女の信頼を得る。だが、いつしか王はトンイに思いを寄せて……。

 

第7弾『馬医』 2024年放送

『馬医』©2012-3 MBC

17世紀、卓越した鍼の腕で馬医から御医へと出世した医師の一代記。ミュージカル俳優のチョ・スンウが監督たっての希望で主演を務め、ドラマ初出演で演技大賞を受賞した。『善徳女王』のイ・ヨウォンがヒロインを演じて話題に。名門出身の医官ドジュンが友人の裏切りで処刑され、賤民のソックは彼の息子クァンヒョンを守るため自分の娘ジニョンとすり替えて育てる。成長したクァンヒョンはやがて宮廷の馬医となる。

 

第8弾『オクニョ 運命の女(ひと)』 2024年放送

『オクニョ 運命の女(ひと)』©2016MBC

獄中で生まれた娘が苦難を乗り越えて、自身の出自を明らかにしていく。主人公が架空の人物なのは初めてだが、13代王・明宗をはじめ実在人物が多数登場し歴史考証は十分。『ホジュン…』のチェ・ワンギュが脚本を手掛け、チョン・グァンリョルが特別出演した。親の顔も知らず獄舎で生まれ育った娘オクニョ。15歳になった彼女は能力を買われ極秘捜査の任務に就き、密命を受けて出立するが、殺人容疑で捕まってしまう。

『韓流ぴあ』ブレーンライター。香港映画から始まって韓国エンターテイメントの魅力に目覚めて20数年。ドラマをはじめとする韓国エンタメについて取材・執筆する日々の中、韓国作品のほかに中国時代劇や台湾作品に割く時間が増加中。

「韓流ぴあ」更新情報が受け取れます