映画やTVドラマ、SNS動画などで目にするおしゃれな家。
こうした家に必ずあるのが、「ウォークインクローゼット」や「パントリー」です。マイホーム建築では憧れる現代的な設備の代表ともいえます。
しかし、憧れだけでこうしたスペースを作ってしまうと、不便で使いにくく後悔につながります。
今回はその理由を、一級建築士兼宅地建物取引士として不動産・土地の選び方などについて様々なノウハウを伝えている、住宅専門チャンネル「YouTube不動産」の印南 和行さんの著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』から、お伝えします。
パントリーやウォークインクローゼットが要注意なワケ
デッドスペースができやすい
ウォークインクローゼットは、衣類だけでなくバッグやスーツケースなど、ふだん使わない大きなものも収納します。収納するものが多いので、何よりもデッドスペースをつくらないことが大切。
人が歩くスペースと収納スペースで最低でも1.5帖。収納スペースの幅はハンガーが収まる広さとして60cm、人が歩くスペースとしても60cmは必要です。1帖程度であれば、壁づけのクローゼットのほうを。このほうが広さを有効活用できます。
1.5帖~2帖程度であればI型が適しているでしょう。必要な幅の目安は 120cm以上です。2帖以上であれば、Ⅱ型、L型 U型のレイアウトが可能です。
ハンガーの高さや棚の奥行きなどは、使ってみてはじめてわかります。後悔しないように、収納するものによって変えられるよう、造りつけの造作家具にする場合でも可動式がおすすめです。出典(プロ建築士が絶対しない家の建て方)
新築時に「とりあえずここにも棚をつくっておこう」と軽い気持ちで設置すると、実際の生活と合わず後悔する可能性が高くなるので注意しましょう。
扉があると不便な場合が多い
パントリーは缶詰やペットボトル、ドライフード、パウチ商品、そしてお米や冷蔵庫に入れる必要がない野菜などを収納します。
ウォークインクローゼットもそうですが、パントリーで使い勝手に大きく影響するのが扉の問題。訪問客からは見えないので、実用性を第一に考慮して扉は「ない方がよい」と印南さん。
パントリーは調理しながら出入りすることが多いので、片手で取り出したり、 ポンと置いたりできるほうが使いやすいですよね。キッチンとのあいだに扉を設置する場合も、開閉にスペースをとらない引き戸が便利です。出典(プロ建築士が絶対しない家の建て方)
扉があると、開閉に不便で、湿気がこもる、収納してあるものが分かりにくいというデメリットも。
奥行きが深くない棚にし、収納したものが一目で分かりやすくすると機能的。家族全員が取り出しやすいのが一番です。
収納スペースはモノを多く入れがちになりますが、扉がなければ、整理整頓にも気を配るようになりますし、余分なものが少ないと、風の通りも良くなり、カビなども防げます。