近年、住宅ローンの返済ができなくなり、せっかく手に入れた念願のマイホームを無念にも手放す人が増えています。
住宅ローンの総返済額や月々の返済額、そして資金計画などについては事前にしっかりと説明を受け、納得の上で購入しているはずなのに、なぜ破綻してしまうのか。
もともと人生は思い通り(計画通り)にいかないものですが、生活費や教育費など思わぬ出費が増えたことだけが原因でローン破綻してしまうのでしょうか。
そんな中、筆者が不動産売買の現場でローン破綻した人と接しているうちに見えてきたことが1つだけあります。それは、ローン破綻者の多くが購入時に何気なくあることを聞かされていたということです。
それはまさに暗示と言える不思議な言葉ですが、果たしてその暗示に掛かった言葉とは?
今回は、住宅ローン破綻した人の多くが購入時に聞かされていた「暗示に掛かった言葉」について宅建士の筆者がお伝えします。
住宅ローン破綻する人のほとんどが「気にしていないこと」
「持ち家か賃貸か」についての議論はインターネット上でも様々な意見が飛び交っていますが、どちらが良いかについては毎月の家賃やローン返済額で比べる人は多いものです。
例えば、現在の家賃が10万円であった場合、ローン返済が8万5千円、管理費と修繕積立金が2万円のトータル10万5千円なら、違いはたったの5千円。その程度の違いであれば、将来的に自分の資産になる持家を選択する人は多いですね。
保険も同じように、保証内容が同じならば、掛け捨てよりもいざと言う時に解約返戻金が出る保険の方が良いと判断する人は多いでしょう。
このように、居住費や保険は、比較検討する際に多くの人が「毎月の支払額」と「資産性」を基準に判断しているのが現状です。
その証拠に「家賃はいくらですか?」「保険料はいくらですか?」と尋ねるとだいたいの人が即答できますから、ランニングコストは重視していることが分かりますね。
しかし、「返済が終わるのはいつですか?」と尋ねるとほとんどの人が明確に答えられません。住宅ローンであれば「75歳でしたっけ?」といったような曖昧な答えが返ってきます。
つまり、住宅ローン破綻する人のほとんどが「完済日を気にしていない」現状があるのです。
定年退職後もローン返済が続くことへのリスクは分かっているはずなのに、なぜ完済日をあまり気にせずローンを組んでしまうのか。
そこには、購入時に何気なく聞かされた「暗示に掛かった言葉」が潜んでいるのです。