「豚殺し鍋」の前に

 

予想だにできない鍋の到着を待つ。すると張さんから一言。
「豚殺し鍋の前にまずは、ウチに来たらこれ食べてほしいです」
豚殺し鍋の前に「これ」について談笑しつつ到着を待つ。

しばらくすると、とてつもなく香ばしい唐辛子のにおいとともに張さんの言う「これ」が運ばれてきた。

 

コリコリ、胃袋、豚血豆腐と野菜の辛煮(1050円)。

中国名で毛血旺(まおちゅうわん)というこのメニュー。具は豚の血豆腐(豚の血を豆腐状に固めたもの)・ハチノス・ハツ芯・キクラゲ・豆もやし・エノキ・小松菜・白菜・ネギ・パクチーに大量の鷹の爪。

見た目ほど辛くはなく、味もあっさりコクのある味つけ。箸はとめどなくすすむ。しかし、お冷やで流し込むのは色気がないが仕方なく、とにかく酒にびっちり寄り添うであろう会心の一品。

 

豚殺し鍋を待つ間にもう一品、豚背ガラの醤油煮込み500円。
ビニール手袋をしてしゃぶりつく。ビールがほしい。しなやかな歳下の婚約者くらいほしい。
 

このメニューもうまいんです

某テレビ番組でも取り上げられたという豚背ガラの醤油煮込み。4時間ガッツリ煮込んだ東北人家自慢の一品は中国人向けの味つけという店のコンセプトながら、日本人の舌にも親しみやすい味であった。