おかしな「提案」に
「振り返ると、映画に誘われたときからやり直そうと言われるまで2週間で、すごく早かったですね。
そのときは元彼のほうから連絡が来ることが幸せで特に変だなとは思わなかったのですが、私がおとなしく何でも従うから、元彼はすぐ『いける』と思ったのだと今は感じています」
未練の残る元彼と以前と同じような時間を過ごし、やり直したいと言われたら、誰だってうれしくなるしその気持ちを疑うようなことはしないはずです。
素直に「うれしい、ありがとう」と返した麻子さんでしたが、幸せな気持ちにふっと影が下りたのは、元彼からの「提案」を聞いたときでした。
「恋人ではなく、彼女候補として付き合いたい」。
「やり直したい」の意味は昔のような恋人関係のことだと信じていた麻子さんは、元彼から飛び出した「彼女候補」という言葉に違和感を覚えます。
元彼の言う「付き合いたい」は、友達以上の関係ではあるけれど恋人ではない、麻子さんを彼女になる可能性のある女性として置くつながりでした。
「3ヶ月はその状態でいたいと言われ、混乱しました。
3ヶ月の間に私が彼女にふさわしいかどうかを見定めるって意味で、その間は要するに都合のいい女でいろってことですよね」
復縁したいこちらの気持ちを知っていてそんな提案をする元彼の様子は、「ふたりの関係を決めるのは俺」という圧力を感じたと、麻子さんはいいます。
本当に好きなら「彼女候補」なんて言葉は出ないはずで、期間を設けて自分を縛ろうとする姿は、麻子さんにとってはうれしいとは思えないものでした。
麻子さんは受け入れるだろうと信じ切っているのか、「俺もよく考えた結果なんだ」と強い口調で続ける元彼の様子は、自分に未練のある元カノを操作することに何の疑問も持っていないようだったと、麻子さんは振り返ります。