受け入れがたい「提案」に

「元彼には何て返したのですか」と尋ねると、麻子さんは大きく息を吸ってから

「お断りします、とはっきり言いました」

と、惑いのない声で答えました。

「あなたのことはまだ好きだけど、だから会ってきたけど、友達以上恋人未満の彼女候補なんてまったくうれしくないと言いました。

だって、3ヶ月の間に私のことを気に入らなかったらまた捨てるって意味で、好かれるためにお前が努力しろって言っているのと同じですよね?

そこまでなめられて、それでも復縁したいとは思わなかったです」

元彼のほうは、「よりを戻すためなら何でもするだろう」と麻子さんを見ていたのかもしれません。

自分に未練があるのをわかっていて、誘えば断らずどんな話も聞いてくれて、「復縁できる」という希望をちらつかせれば、こんな都合のいい提案でも乗ってくるはずと思っていた可能性はあります。

麻子さんが危機感を覚えたのは、「やり直したい」と言ったときの元彼の振る舞いにもありました。

「私を家に送るクルマのなかで、手を握ってきたのですね。

私はうれしいから振り払うなんてしなかったのですが、その後でこの提案をしてきたので、『都合のいい女』って言葉が浮かびました」

元彼の「提案」には、好意ではないおかしな下心があると感じ取った麻子さんは、

「悲しいし情けなかったけれど、元彼のことが好きだからこそ、うんとは言えませんでした」

と、そのときの自分の決断について今も後悔していないことを話してくれました。