実は終わりが決まっている“あの漫画”たち

まだ連載は続いているが、ラストの形がすでに作者の頭の中で決まっている(と明言されている)長寿漫画もいくつかある。

1つは『こち亀』と並んで長期連載を誇る『ゴルゴ13』。この作品のラストについては以前から“最終話はコマ割りまで決まっていて、厳重に金庫にしまわれている”という都市伝説が存在する。いまだ年配のファンは信じている人も多いらしいが、この説は作者のさいとう・たかを氏によって否定されている。

ただしこの都市伝説は一部だけ真実を含んでいて、インタビューによれば“最終話がコマ割りまで決まっている”のは本当だという。

1960年代から世界中のあらゆる場所で神業的な狙撃を見せてきたゴルゴも、リアルに年をとっていれば今は相当な高齢のはず。その“最後の仕事”がどんな形になるか、早く知りたいようで永遠に読みたくないような、ゴルゴファンはみな複雑な心理を抱えていることだろう。
 

もう1つ、あらゆる漫画のセールス記録を塗り替え続けている『ONE PIECE』も同じだ。連載は長期化しているものの、すでに作者の中では結末が決まっていて、その内容は歴代編集者にも伝わっているとのこと。

週刊少年ジャンプでの稼ぎ頭というポジションから『ドラゴンボール』のような連載引き伸ばしを勘ぐられがちだが、あくまで必要最小限のボリュームが今の長さということだろうか。

この先、張り巡らされた数々の謎と伏線がどのように決着するのか目が離せないところだ。

 

ちょっと特殊なところでは、麻雀漫画の『アカギ』も結末がある程度はっきりしている。リアル時間にして15年以上も続いている“吸血麻雀”勝負(作中ではたった一晩の話なのだが)、アカギの生還は確定しているのだ。

というのも『アカギ』自体が『天 天和通りの快男児』のスピンオフ作品で、その『天』には晩年のアカギが登場しているからだ。つまり若いころのアカギはどうやっても死ぬことがない。

そのためファンは勝敗の行方自体より、“どこまで作者が麻雀と関係ないところではっちゃけてくれるか”を期待している様子が伺える。作者の福本伸行氏もそんな期待を察してか、最近ではむしろ登場キャラクターが麻雀牌を握ることのほうが珍しくなっている。

このあたりは“テニスをやらなくなったテニス漫画”として有名な『テニスの王子様』と共通する部分があるだろう。