なかなか終わらない“あの漫画”たち

完結した作品、もうじき完結する作品、いずれ完結が決まっている作品……長期連載漫画でもさまざまなタイプがあるが、困ったことに一番多いのが“いつ終わるのかさっぱり予想できない”漫画だろう。

もちろん悪いことばかりでもなく、たとえば記者個人としては『こち亀』『パタリロ!』などが永遠に続いてくれればと思っている。いつ見てもその雑誌にあの作品が掲載されている……そういう安心感は何ものにも代えがたい。
 

しかし、そう思わない人間もいるようで、休載続きの漫画にあてつけるようにデマを流したりするケースもある。

たとえば被害にあった有名作としては『HUNTER×HUNTER』。ある時期に「読者の皆さまへ」と題した雑誌のスキャン画像がネットへ出回り、そこには少年ジャンプ編集部からの連載終了を知らせる文面が記されていた。もちろんこれは精巧に作られた釣り画像(偽物)であり、連載はまだ終わっていない。

よくよく見れば作者の名前が呼び捨てになっているなど不審なのだが、あまりの出来の良さ&リアルな休載期間の長さから釣られてしまったネットユーザーも多いようだ。

 

同じように編集部を装って連載終了を告げるデマは昨年も流れ、この時は人気ファンタジー漫画『ベルセルク』が被害を受けている。内容は作者(三浦建太郎氏)の体調不良によって連載中断、単行本は37巻が最終になるというものだった。

この怪情報は画像がなく、白泉社オフィシャルページへのリンクもない杜撰きわまる低クオリティだったが、ネット掲示板→まとめサイト→ツイッターという毎度の“デマ拡散ルート”によって急拡大。まんまと釣り上げられてしまった人々がここでも続出した。

『あさりちゃん』最終巻の件も同様だが、こうした人気漫画の終わり方に関わる悪質なデマ拡散は決して許されるものではない。

だが一方、すっかり話題にのぼらなくなった“忘れ去られつつある長期連載漫画”が少なくないのも事実で、新たなデマが生み出されるのはそれだけ続きを心待ちにしているファンが多い証拠なのかもしれない。

いずれにしても作品のファンができる最大の応援は、デマ拡散に手を貸すのではなく“作者を応援し続ける”ことだろう。

 

 

 

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。