マジメなお母さんほど危険!

高濱:不安になったお母さんが子供の行動を規制してしまうと、子どもたちは主体性とかやる気とか自己肯定感という“芽”をふさがれてしまう。

子供のこういった“ツノ”を折ってしまうと、子ども自身から伸びようとせず、引きこもってしまう場合もあります。そのおおもとに“お母さんの不安定感”というのがある。

雑誌や育児書をキチンと読んで、頑張ろうとしているマジメ母さんほど危ないんです。

——気持ちではわかっていても難しいんですよね。

高濱:本を読んだり、講演会に行ったりした日は優しいけれど、3日経つと、またイライラするお母さんに戻ってしまう。これには理由があります。時代的な病気として、お母さんの孤独が増しているということなんです。

今までは地域のおばちゃんや、先輩のお母さんがたくさんいた。それが今はまったく無くなって、一人きりで子育てしているから、行き詰ってしまうんですね。

 

お母さんは楽になっていいんですよ

——わたしも5歳の男の子の母ですが、つい焦ったり、叱りすぎてしまうことがあって……

高濱:母は基本、不安な生き物なんですね。子供のことをわかってあげたいんですけれど、「なんでそんなことするの」、「どこが楽しいの」ってことをしてしまうのが男の子。

お母さんは“大人”で“女性”でしょ。でも、息子さんは“子供”で“男”。全然違う生き物なんですね。それで、理解できなくて子供の行動を規制して、“ツノ”を折ってしまう。

「汚いことはやめなさい」とか、「危ないことはやめて」とか言っちゃいますよね。自分の中でどう考えても出てこない発想なんですが、男の世界は明らかに世界中どこにいってもそうなんですね。

——ツノを折ってしまった場合は?

高濱:まあ、幼児なら明日になれば新しいツノが生えてますよ。「おはよう、ママ!」ってね(笑)。

だからお母さんは、子供、特に男の子はそういう生き物なんだなってわかって、上手に見逃してあげてください。「キイイィ!」と、とっちめるのではなく。