休む前の半分から3分の2へ大幅アップ!

この育児休業給付、2014年の4月1日以降に育休を開始した人から支給率がアップされることになりました。今までは休業開始前の50%だったのですが、これからは67%に大幅アップしたのです。

67%ということはつまり、3分の2相当ということです。産休時点に健保のほうから支払われる出産手当金と同水準になったのです。

残念ながら67%のまま1歳までもらえるわけではなく、180日目まで。その後は今までと同じ50%に戻ります。それでも支給額はずいぶんアップします。

仮に休業前が月20万円であった場合(厳密には6月分の賃金をベースに計算する)、育児休業給付は180日までは月13.4万円、それ以降は月10万円がもらえることになります。1週間あたり、8500円くらい増えるわけですから、これはかなりの増額です。

育児休業給付の手続きは、2カ月に一度会社を通じて申請します。振込のタイミングはちょっと遅れることになりますので、出産前後はお金の余裕をみておきたいところです。最後にもらえるボーナスなどはできるだけ残しておくといいでしょう。

ますます「おめでた退職」はNG! 働き続けよう

今回の改正でいえることは、ますます「おめでた退職」は損、ということです。育児休業給付は、復職を前提とした育児休業を取得している人が対象です。妊娠を機に会社を辞めてしまった人は対象となりません。

実は産休期間や育休期間については、厚生年金保険料・健康保険料は引かれません(育休期間についてはすでに実施済み、産休期間については2014年4月30日以降に産休が終了となった人より実施)。また、先ほどの育休給付の期間より長く、最大で3年間まで保険料が免除されます。

この間は会社が負担する保険料もゼロ円ですむので、会社にお金を出させているわけではありません。産休の手当は健康保険制度が、育休の手当は雇用保険が出していますから、「会社に迷惑をかけるのでは?」と心配する必要もありません。

育休給付については、雇用保険に加入している人、つまり正社員等のメリットです。フリーランスや個人商店の社長さんなどは雇用保険に入っていないので、育児休業給付をもらうことができないのです(実は私も男性の育休を取ろうかと思ったら、雇用保険に入っていないので取得できませんでした…)。

育休給付をもらえる人が、これをもらわず育児の最初の1年を過ごすのはとてももったいないことです。経済的にも100万円以上になることもあり、見逃せません。

復職後に体調が思わしくないなどの理由で辞めることはあるかもしれません。しかし、最初から「復職はなし」と決めつけるのはもったいないことだと思います。

長い目でみれば、子どもの学費や自分たちの老後の資金準備を考えなければならず、働く必要が必ず出てきます。一度辞めた正社員の立場に戻るのは簡単ではありません。

子どものためにも、自分のためにも、育休給付をもらって、ぜひ復職してみてください。きっと、「仕事と子育てのバランス」がメンタル的にも経済的にもあなたの余裕を作ってくれるはずです。

働くママさんにはぜひがんばってほしいと思います(もちろん、子育てパパさんは積極的に育児や家事に参加すべきです。この話はまた改めて)。がんばって!

やまさき・しゅんすけ 「人生の幸せの問題は、たいていはお金の問題である」という考えのもと、お金と幸せについて考えるファイナンシャル・プランナー(FP)。公的年金制度・退職金制度、投資教育が専門。Twitterでは毎日一言「お金の知恵」をツイートしてます。副業はオタクで、まちあるき、アニメとコミック、ゲーム好き。所属学会は東京スリバチ学会と日本年金学会