愛されていなかったと思い込んでいた父親との関係
一方、父親との関係の改善について話してくれたのはHさん。4人の子どもを持つママです。
「私は父との折り合いが悪かったのですが、大人になってもわだかまりが消えず、つらい気持ちを抱えたままでした。
最初の子どもが生まれた後、母が亡くなりました。母とは仲が良かったので、これからどうやって父と接していけばいいのか、と途方に暮れました。それまでは母が間に立ってくれていたのですね。」
父親はもともと人に対して不器用な性質で、現役中は、仕事と自分の趣味の釣りにしか興味がなかったそうです。家庭では会話はほとんどなく、食事の時間はHさんにとって苦痛でしかなかったそう。
たまの休みにどこかに連れてってくれても、Hさんはなかなかうまく甘えられません。父は妹の方がかわいいんだと思って、拗ねていたそうです。
「父と同じ場所にいるのが息苦しかったですね。成長するにつれて、自分は愛されていないと思ったり、母と父との関係を見て母がかわいそうと思うようになったりして、怒りも生まれてきました。」
子どもがとかした父の心
その後、2人目が生まれ、必要に迫られて、孫の面倒や、送迎を父親に頼むようになりました。わだかまりや怒りを抱えつつも、「今まで愛情をもらえなかった分、孫のことくらいやってよ!」というくらいの気持ちだったそう。
「初めのうちは渋々引き受けてくれていた父ですが、3人目の子どもが生まれる頃には、孫に対して顔をほころばせ、私に笑顔を見せることも多くなりました。
昨年生まれた4人目の子どもを抱っこして、あやしてくれることもあります。」
子どもにはできなかったことを、4人の孫にできていることが、父親にとっても喜びなのかもしれませんね。
Hさんに、今、父親に対する確執はもうないのか聞いたところ、「今は怒りはまったくなく、会話が弾むまではいかないけれど、苦痛はなくなった」という答えが返ってきました。
子どもが生まれても成長できる?
SさんとHさんの例、いかがでしたでしょうか。
親との関係は人によってさまざま。
中には、親の影響下から逃れられないまま大人になっても苦しんでいる人もいます。
ですから、子どもを産んだからと言って、関係が改善するとは一概には言えませんが、少なくとも、出産を親との関係が変わ るきっかけにすることはできるのではないでしょうか。
人は何歳になっても成長できます。
たとえば、それまで口ゲンカの絶えない親子関係であったとしても、子どもの前でそんな姿は見せたくはないですよね。お互いが歩み寄って、ケンカではなく話し合いをするようになれれば、それは成長と呼べるのではないでしょうか。
さて、ここで皆さんにアンケートです。
子どもが生まれて親との関係、どう変わったか、教えてくださいね。