6歳の「わたし」と日本人形の「なおみ」。フラッシュバック必須の写真絵本!

 
 

ラストは、6歳の少女と日本人形の「なおみ」が一緒に暮らす日常を、谷川俊太郎の文章と沢渡朔の写真で綴られている写真絵本『なおみ』(福音館書店)です。「絵」で描かれている絵本よりさらに、リアルで身に迫るものがあります。

人形って、人間そっくりの姿かたちをしているのに、生まれも育ちも、死にもしないですよね。やがて大人になる時間の流れを生きている、6歳の「わたし」と違う所は、そこなのです。なおみが身につけている古い着物や、舞台となっている古い西洋館、そしていつも微笑んでいる表情が、底知れぬ不気味さを醸し出しています。

「6歳の少女とほぼ等身大の日本人形登場」という設定だけで筆者は十分に怖かったのですが、最後のページの「なおみ」の姿は、もう本当に、フラッシュバック必須の恐ろしさでした。
夜中に「なおみ」がこっそり部屋で微笑んでいたら、どうしましょうかね……?(涙)


いかがでしたか?
「怖い話」って、誰かから聞いたり、文章を読んだりして、想像力を思う存分ふくらますのも楽しいですが、ビジュアルを先に目に入れてからお話を読むと、また違った面白さを感じることが切るはずです。特に日本人形の「なおみ」なんて、一度見てしまうと忘れられないかと思うので、読まれる際は十分に覚悟して下さいね。これでこの夏は、クーラーいらずで過ごせるかもしれません。

 京都府在住の26歳。三度の飯より本が好きで、またそのレビューを書くことを何よりも愛している。毒のある本やミステリーが好き。主に「読書」の分野で記事を書いています。いつでもアワアワしているフリーランスのライターです。 Blog