叩いて教えるやり方は?
“しつけ”と聞くと「厳しく教える」、「叱る」などネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。けれども、“文化の伝承”と考えてみると、叱り飛ばして教えるものではないのです。一から子どもの知らないことを教えていくことがしつけです。
「口で言ってもわからないから叩いて教える」、「普通に伝えても言うことを聞かないから声を荒げる」そんな手段をとってしまうこともありますが、どうして子どもが親の暴言、暴力に頼らないと言うことを聞かなくなってしまったのでしょうか。
それは、しつけのタイミング、時期を逃したのが要因だったりします。
しつけをスタートする時期
遅すぎたケース
ある家庭の例です。
2歳過ぎても「小さいからまだ言ってもわからないだろう」、「子どもだから皆さん許してね」の考えで、食卓の上に自由に上らせていました。外食時、レストランで走り回っても、自由にさせていました。
子どもは次第に「食卓の上は上ってもOK」、「レストランは公園と同じで走り回ってもよい」と学習していきました。ところが、これでは世間は許してくれず、親は子連れで外出することが難しくなってきました。
そこで、親は「区切りとして、3歳の誕生日を迎えたらしつけをスタートしよう」と考えました。3歳になった日に「もう、3歳になってお兄さんになったんだから静かにしていなさい」と急に言い始めました。
しかし、子どもにとっては3年間で染みついた習慣はそうそう簡単に修正することはできません。ファミレスに行けば走り回り、図書館で借りてきた本もクレヨンで落書きしたり破ったりします。
こうなると、親は「言って聞かせる」なんて穏やかな対応はしていられません。「なんど言ったらわかるの!いい加減にしなさい!」と大声を出したり、時には叩くなど手を出さざるを得なくなってしまいました
叱らないでどうしつけけるのか
テーブルの上に乗ったとき
子どもがまだ0歳でも1歳でも、食卓に足を上げたら「ご飯を食べる場所だから降りようね」と即座に下ろすことを根気よく続ける。
⇒子どもは乗っても乗っても下ろされるので、「足を上げてはいけない場所なんだ」と次第にわかるようになってくる。
絵本を踏んだり破ったりする
親は「絵本読むのだから破かないで」、「絵本は読むものだから踏まないで」とさっと絵本を取り上げる。
⇒子どもは絵本の扱い方を学んでいく。
病院の待合室で走り回る
親は「病院は具合の悪い人がいるから静かにしようね」と子どもを外に連れ出す。
⇒子どもは公園や家と同じ行動をとってはならない場所だと理解していく。
おかずを玩具にして遊びだす
子どもが食事中、おかずを玩具にしてボールのように投げたり、遊び食べし始める。これは「もう、お腹いっぱいで食べたくない」のサインなので、親は「はい、御馳走様ね」と食事を下げる。
⇒子どもは、おかずを遊び道具にしたら食事は終わりになることを知る。
直ぐに「はい、はい、わかりました。そのように致します」なんて行動は出来ませんが、「上ったら降ろされる」、「絵本を破ったら取り上げられる」、こんな体験を積みながら、次第に頭の中で“やっていいこと・悪いこと”が区別できるようになってきます。 ここには「怒鳴る、叩く」行為はありません。
まとめ
一度ついた習慣を変えるのには苦労を伴います。それは子どもとて同じこと。そうなると親は“しつけ=厳しく叩いてでも教える”の手段を取らざるを得なくなってしまうのですね。
人の子は生まれつきやっていいこと、悪いことを知らないでこの世に誕生します。その年齢に応じたことを一つ一つ、丁寧に教え伝える気持ちでしつけをしていきましょうね。