もちろん、舞台ならではの"お遊び"要素も用意されている。キャストがムチャぶりをされて、素の苦笑いを浮かべながら何とか一発芸をやりきるところなどは、シリアスなストーリーの中にあってちょうど良いブレイクタイム。ここはおそらく毎回内容が変わるはずなので、2回以上見に行くならぜひ注目してほしいところだ。
ラストには「そういうことだったのか!」という驚きもあり、ハラハラドキドキさせられるシーンもあり、ちょっと切ない展開なんかも用意されている。乙女ゲームというくくりで考えると恋愛がメインなのかなと思われそうだが、実際には恋愛だけでなく、あらゆる面白さが詰まったハイブリッドなミュージカルだ。
キャストの多くは再演ということもあり、それぞれのキャラクターの特徴をうまくつかんだ安定感のある演技を見せてくれる。唯一、シン役の山崎大輝だけは、今回の再演からメンバーに加わった新メンバー。1995年生まれの18歳と他のキャストよりも歳が若く、現場でも弟的な存在のようだ。
ゲネプロ前の会見では「前作のシンとまた違った魅力を伝えていきたいです」と挨拶。今後の成長にも期待ができそうだ。
恋愛オンリーの舞台だと、あまりそっち方向が得意ではない筆者には辛かったかもしれないが、『AMNESIA』はそれ以外の要素も充実しているおかげでしっかり楽しむことができた。女性も男性も一緒になって楽しめる作品である。
ミュージカル『AMNESIA』re:againは9月3日~10日まで全労済ホール/スペースゼロにて公演中。
また、9月20日から23日まで大阪ビジネスパーク円形ホールにて公演が予定されている。