「待機児童ゼロ」のために新設された保育所はどんなところ?
では、規制緩和によって新設された「ビルの一室を利用した保育所」はどんなところなのだろうか。
保育施設が「認可保育所」となると自治体が入所申込を受けて選考するので、必ずしもマンション入居者の子どもが優先して入所できるというわけではなくなる。マンション住人専用の保育施設がある場合は、そのマンションを管理している事業所が認可外で運営しているケースが多い。
日当たりはいいのか? 狭い中に子どもたちが詰め込まれてはいないか? そんな不安が頭をよぎる。
そこで、昨年4月にオープンしたばかりの「グローバルキッズ戸塚第二保育園」に取材依頼。さっそく見学に行ってみた。
JR戸塚駅前のビル「TWINS YAMAKI」の2階と3階が保育所。1階の入口も専用に設けられ、カメラ付きのドアホンで確認してからドアが開けられる仕組みになっている。
「昨年4月のオープンから今年の3月までは、0~2歳までの受け入れでしたが、今年の4月から3歳児も受け入れられるようになりました」と園長の井澤くるみ先生。
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園内は広々とした空間を腰高の収納で仕切って年齢別の部屋にしているので、明かりをさえぎるものがなく暖かい。床は裸足で歩く子どもたちのために、木のフローリングやコルクを使用。0歳児のお部屋の一部には畳を敷くなど、子どもたちの「手足の感触の心地よさ」も大事につくられている。
天井付近にぶら下がっている濡れタオルは乾燥を防ぐ効果があるのだそう。
食事はすべて栄養士さんの手づくりで、アレルギー対策も万全。保育士さんと栄養管理士さん、そして看護師さんが常駐し、子どもたちと保護者が安心して生活できるように徹底しているという。
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またグローバルキッズでは、「送迎保育ステーション」として整備された園で、3~5歳児を園から遠い送迎先の保育所までバスで送迎するという機能がある。子どもたちは、保護者のお迎えが来るまでグローバルキッズの園内で一緒に過ごしている。「駅から遠いと、車を運転しない保護者の方は大変。どんどん利用してほしいです」と井澤園長はいう。
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マイナスイメージが多かったビルの一室を利用した保育所も、きちんとした環境を整えることで、子どもたちも安全で楽しい時間を過ごすことができる。
自分のライフスタイルにはいったいどの保育所が合うのか? わが子にはどんな環境が合うのか? 保育コンシェルジュは、相談に来た親や子どもの性格に合った保育所選びもアドバイスしてくれる。
取材を終えて
「保育所を増やし、保育コンシェルジュという相談窓口をつくり、少しでも多くのお子さんが保育施設に入れるように私たちもがんばっています。しかしそれでも、まだたくさんの人が希望通りの保育所に入所できない状況にあります。より多くの方にニーズに合った保育サービスを利用していただきたい」と、コンシェルジュを代表して山岸さんはいう。
山岸さんに現在の待機児童数を伺うと、「平成25年度の数字は4月1日の人数を現在調査中で、5月下旬には発表になります」とのこと。179人から何人まで減るのだろうか。
同時に安倍晋三内閣総理大臣が、「国全体で5年後に待機児童ゼロを目指す!」と宣言しているのを耳にしたことで、いっそう期待が高まる。
記者は17年前に子どもを産んだ翌年、仕事に復帰するため保育所を探したが、とても苦労をした経験がある。特に、市役所内にある福祉事務所で相談しても「書類を提出してください」という、事務的な答えしか返ってこなかった。今は保育コンシェルジュという専門の相談員がいる。その存在が保育所を探すお母さんたちにとっては、きっと心強いだろうと思う。
ただ一方で、「待機児童ゼロ」というイメージ先行の報道に、「単なる数字合わせ」「実感がない」など疑問を感じている人も少なくない。次回は「待機児童ゼロ」という言葉だけが、先行してしまっているのかどうか、実際に待機児童を持つ母親に話を聞いてみたい。
【取材協力】
・こども青少年局 緊急保育対策課担当
住所/横浜市中区尾上町1-8 関内新井ビル5階
電話番号/045-671-4220
・グローバルキッズ戸塚第二保育園(認可保育所)
住所/横浜市戸塚区戸塚町5043-2 TWINS YAMAKI Ⅰ 2.3F
電話番号/045-881-0408
※本記事は2013年5月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。