では、具体的に横浜市の待機児童数はどのように推移してきたのだろうか。
横浜市では2003(平成15)年度から2005(平成17)年度まで子育て支援事業本部を立ち上げ、待機児童対策に取り組み、保育所定員を増やしてきた。その甲斐があり、2006(平成18)年に一度は353人まで減った待機児童。
一方で、入所申し込みも増加傾向にあり、2010(平成22)までは年待機児童は増えていた。
しかし、その後も内容を見直しながら活動を続けた成果もあり、厚生労働省の記者発表の資料によると、政令指定都市中核市である横浜市は2010(平成22)年4月の待機児童数ダントツワースト1位から、2年後の2012(平成24)年4月には政令指定都市中核市の19都市の中でベスト10位まであがった。
ここ数年、大きいマンションの一室を保育施設にしているところが増えている。「子育て応援マンション」など、建築の際に容積率などの規制緩和が進んでいることもあり、「保育所」の数が増えている。
この現在の数字を実現できた要因の一つとして、「保育コンシェルジュ」事業がある。
保育コンシェルジュは待機児童数減少の救世主
2011(平成23)年6月、横浜市18区すべてに設置された「保育コンシェルジュ」事業。昨年からメディアでも耳にすることが多くなった「横浜市の保育所待機児童数が大幅に減少」というフレーズを作った状況に、一役買っている救世主。
では、「保育コンシェルジュ」は待機児童を減らすために実際にどういった取り組みをしているのだろうか。保育コンシェルジュ事業を統括している、「横浜市こども青少年局子育て支援部保育対策課」の山岸紗依子さんにお話を伺う。
山岸さんは、「年度末から年度始めはバタバタで・・・」と言いつつも快く取材対応をしてくれた。
「保育コンシェルジュ」は各区役所内の「こども家庭(障害)支援課」に在籍し、保育サービスに関して「事前に電話で予約をするとスムーズに相談に乗って」くれるとのこと。
相談員は市の非常勤嘱託員。特に資格は求められていないが、中には保育士の資格を持っている人や、子どもが大きくなって子育てがひと段落したベテランお母さんなどがいる。
主な相談内容は、「子どもを預けられる保育施設はどこか」というものから、「子どもを持ちたいが産んだ後に子どもを預ける時はどうしたらよいか」というものまでさまざま。また病気や介護といった事情で、子どもを一時的に見てくれる人が欲しいという人もいる。そういった家庭の事情を聞き、保育施設探しや手続きなど、ニーズに合ったサービスのアドバイスをしてくれ、待機児童が減ったと言われている現在も日々奮闘中とのこと。