2.「自分でコントロールする」訓練を根気強く行う

もちろん、ルールを設定しても、守れないことは多々あります。

たとえば、家族が帰ってきてもゲームに夢中で挨拶をしなかったり、朝起きてすぐに身支度もせず動画を見始めたり……枚挙に暇がありません。

大人でも、ついついスマホを見てしまう、ということがありますが、子どもは、発達が未成熟ですので、なおさら。できなくて当然です。ですので、できないからと言って、そのたびに失望したり、遠ざけたりするのは、上策とは言えません。

スマホやゲームに熱中しているかたわら、自分が置かれている状況を認識し、適切な判断をする訓練を、根気強く、継続的に行っていくことが大切です。

私は、子どもがルールを守れなかったときに、「自分でコントロールできる人だけが、スマホやゲームで好きなだけ遊ぶ資格がある」という主旨の話をします。

「自分でコントロールできるなら、好きなだけ遊んでいいよ。でも、コントロールできないなら、よそのおうちみたいに “あなたにコントロールは無理” と決め付けて、1日30分までと時間制限するよ。どっちがいい?」

何十回となく繰り返されたやり取りがあって、現在は、ルールを守れないことはほとんどなくなってきています。

3. スマホ・ゲーム以外の楽しみを無数に教える

そして、最も大切なのは、広く世の中を見せて回り、様々な体験をさせ、スマートフォンやゲーム以外の楽しいことを、どんどん教えていくことだと思っています。

もちろん、スマホやゲームは、中毒性があるほど面白いものです。が、スマホやゲーム以上に魅力的で、楽しいものも、たくさんあります。

我が家では、個人事業ボランティアで、年間30泊前後のキャンプし、年間のべ200〜300人の親子等との関わりがあります。

そのたびに、異年齢の子ども同士でごちゃまぜになって遊び、川遊びをしたり、カヤックをしたり、火遊びをしたりしています。ほかにも、トレッキング、海遊び、釣り、スキー、スノーボードなども含めると、自然の中で身体を動かす遊びは、年間50〜60日。

工作、お絵描き、ハンドメイド、映画鑑賞、漫画、読書などクリエイティブな方面でも、たくさんの好き・得意がありますし、取材や旅行にも頻繁に連れ出します。

こういった日常があると、夏休みに3日・4日連続でゲーム漬けでも、まず親の側が全然心配になりません。これが精神衛生上、とてもいい。

子どもたちも程なく飽きて、他の楽しみを探すようになるのは、冒頭で触れたとおりです。

我が家の環境は、一般的とは言えないとは思いますが、「ゲームばかりやって……」とイライラするなら、それはゲームが悪いわけではなく、「本当はもっと色々な経験をさせてあげたいのに、できていない」ストレスがあるのかもしれません。

家庭内で話し合うと、解決策が見付かるかもしれませんね。

そもそも「遮断・制限」は現実的ではない

我が家が、スマートフォンやゲームで積極的に遊ばせているのは、人生を豊かにするためにあらゆる楽しみを積極的に教えたい、あるいは将来を考えてITテクノロジーに慣れさせたいという理由もありますが、根本的には、「遮断・制限するのは不可能」だと考えているためです。

スマホやゲームを制限したり、禁止したりしても、今の時代、世の中にはいくらでも溢れています。

子どもが小さいうちはそれで良くとも、成長すればそのうち必ず、抜け道を見つけるでしょう。

付き合い方を訓練する重要性

抜け道を見つけずとも、親の手を離れれば、自分で手に入れられるようになります。

それまで一切、スマホやゲームとの付き合い方を訓練しておらず、自己認知力、セルフコントロール力が備わっていなかったら、子ども時代にハマるよりも、もっと酷いことになるかもしれません。

どうせ遮断できないなら、小さいうちから、積極的に、付き合い方を訓練していくのがベターではないか、と感じています。

「いつでもできる」から優先順位が下がる

また、我が家の子どもたちを見ていると、興味深い事実が見えてきます。

「ルールさえ守ればいつでもできる」からこそ、相対的に、スマートフォンやゲーム機の優先度が下がっている様子が見て取れるのです。

制限されればされるほど、やりたくなるのは、あたりまえ。

であれば、スマホやゲームを特別な娯楽にするのではなく、日常の一部にしてしまえ、というのが、我が家の攻めの選択でした。

もちろん、各家庭の環境、親子の置かれている状況は様々で、丸ごと真似をすればうまくいく、というものではないでしょう。

正解は家庭の数だけあるはずですので、迷っている方は、ぜひ夫婦で話し合ってみてください。