自然教育園(撮影 なかのまさき)

東京にも森は生きている

森、というとどんなイメージを抱きますか?北欧やヨーロッパの森、童話のなかの森?

実は、都内にも森はあります。高級住宅街として知られる港区白金に、都内でもっともよく保存された照葉樹林があるのです。

国立科学博物館付属「自然教育園」がそれです。

面積こそ皇居の10分の1ですが、1473種の植物、2130種の昆虫、130種の鳥が記録されており、自然の豊かさではひけをとりません。

なかでもチョウに関しては皇居を抜き、57種が確認されています。

ヒオドシチョウ (撮影 杉村健一)

日暮れには、カナカナカナ・・とどこかものさびしげなヒグラシの鳴き声も聞こえてきます。このセミは緑が豊かでないと生息できず、23区内で聞けるところはごくわずかといいます。

東京に干潟がある?

葛西臨海公園

23区内のはずれに、かつての干潟を疑似体験できる場所があります。葛西臨海公園と、それに隣接された葛西海浜公園です。

公園のある旧江戸川河口は、かつては本物の干潟「三枚州(さんまいす)」が広がっていた地域。しかし行動経済成長期の1970年代には大幅な埋め立てが進み、干潟の大部分は倉庫や住宅、大型遊園地に姿を変えました。

今、この一帯で水辺の生き物が見られるのは、鳥類園と呼ばれるゾーンと海浜公園に作られた人工干潟のゾーン。人工とはいえ、作られてから早くも30年以上たち、多くの生き物が棲みつくようになりました。

ヤマトオサガニ (撮影 川上洋一)

干潮時には多くのカニが観察できます。砂を掘ると見つかるのは、シオフキやマテガイといった貝類。さらにこうした生き物は渡り鳥のエサになり、季節になるとシギやチドリが渡来します。潮だまりを泳ぐのはエドハゼをはじめとするハゼの仲間やボラの幼魚。

こうした自然は、定期的な手入れが欠かせない「人工の」自然ですが、一度失われた自然がを取り戻すことがいかに容易でないかを私たちに教えてくれます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ちょっと視点を変えれば、東京の歩き方が変わってくるかもしれませんね。

今回ご紹介した自然教育園や葛西臨海公園・葛西海浜公園では、自然についてや生き物について、楽しみながら学べるイベントなども開催されているようです。

まとまった時間の取れる夏休みに、ぜひお子さんと出かけてみてはいかがでしょうか。

<参照>国立科学博物館付属「自然教育園
東京都公園協会「葛西臨海公園」「葛西海浜公園