6月30日、大阪の児童デイサービスで行われた撮影会の写真の一枚

子育て中のママへのサービスも視野に

みうらさんがやろうとしていることは、多岐にわたります。

今の日本は、『子育てがしづらい社会』だと、みうらさんは感じています。

みうらさん「まず、子どもを産んで当たり前。

そして、母親は、子どもの世話をして当たり前。
母親は、料理や洗濯、掃除をして当たり前。

さらに、これに加えて、仕事に就くことも求められます。

そう、母親に課せられている負担が、大きすぎるのです。

世間には、夫が他界し、子どもも独り立ちをして、『自慢の手料理を食べてほしいけど、食べてくれる人がいない』と満たされない気持ちを抱えている年配の女性がたくさんいます。

そんな女性とマッチングして、子育て中のママに手料理を届けるサービスや、引退した保育士さん、資格はあるけど今は働いていない看護師さんに、気軽にベビーシッターや子どもの世話をお願いできるサービスの提供も、これから『こどもエンターテインメント』としてやっていきたいことのひとつです。

また、子育ての大変な気持ちをただ聴いてもらえる、肯定してもらえる、そういった場の提供もしていきたいです。」

“ワンオペ育児”という言葉もありますが、夫や実家の助けなく独りでがんばりすぎているママはたくさんいます。

子育て中のママが、気軽に食事やベビーシッターをお願いできる。子育てのしんどさや辛さを聴いてもらえて、肯定してもらえる場がすぐそばにある。そんな社会になったら、子育てをより楽しめるママが増えるのは間違いないでしょう。

アメリカと日本の母親に対する考え方の大きな違いとは?

みうらさんが子育て中のママのためのサービスを充実したいと考えた最初のきっかけは、たけひろくんを産んだときに、アメリカの医療とかかわりを持ったことでした。

みうらさんは、たけひろくんの手術に際し、アメリカのとある子ども専門病院にセカンドオピニオンをとりました。

このとき、アメリカの病院と日本の病院のホスピタリティ、そして、母親に対する考え方の違いに衝撃を受けたそうです。

みうらさん「アメリカの子ども専門病院は、“Mr.タケヒロとその母親のために5人の専門家チームを用意する”と言いました。

主治医、看護師長、息子のカウンセラー、私(母親)のカウンセラー、そして事務手続きや通訳などを母親の代わりにすべてやってくれる人間です。

日本では、病院に提出する書類や、国・自治体に提出する書類など、子どもの世話をしながらすべて母親が揃えたり書いたりしなくてはいけません。なので、受けられるはずの支援や福祉などが後手に回ってしまったことが何度もありました。」

アメリカの子ども専門病院のその対応に感動し、そのことを伝えると、「逆に日本のその状況が信じられない」と言われたそうです。

みうらさん「“日本の病院は、母親の扱いがあまりにひどいではないか。母親は『命を産み出してくれた人』だ。大切にして当たり前じゃないか。”と言っていました。

この言葉を聞いて、日本は母親を大切にしない社会だということ、そして、母親は『子どもを産んで当たり前』、『がんばって当たり前』という社会なんだということに初めて気づかされました。」

入院中、そして退院後、日本で社会生活を送る中で、必死の思いで子どもを産んだママが、ヘトヘトになりながらいろんなことを独りでこなしている姿を幾度も目にし、よりその思いは強まっていったと言います。

当たり前だと思っていたことが、視点を変えてみると当たり前じゃなかった・・・。みうらさんのお話を通じて、気づいた人も多いのではないでしょうか。

「人は、生きているだけで価値がある」・・・みうらさんはインタビューの中で何度かこの言葉を口にしていました。

しかし、本当にそう思える社会とは程遠いのが、今の日本です。

個性は押しつぶされ、他人と足並みを揃えた状態でいることを求められます。
必要以上にがんばること、努力することが求められます。

みうらさんの言う「人の命が肯定される、優しさで回る社会」。

そんな社会に近づけば、子育てをもっとのびのびと楽しめるようになるのではないでしょうか。そして、子どもたちの可能性はもっと広がっていくのではないでしょうか。また、もっと素敵な国になるのではないでしょうか。

みうらゆうさんやたけひろくんについて、『こどもエンターテインメント』の活動についてもっと知りたい方は、ぜひホームページ・ブログをご覧ください。

【取材協力】みうら ゆう さん:こどもエンターテインメント代表。 

【参考】オリィ研究所

分身ロボットOriHime

みうらゆうさんのブログ

3万人を超える人の悩みを解決するコーチ&カウンセラーとして活躍。 2010年、その経験を活かしてコミュニケーション心理スキルを紹介する、コミュニケーションライターとして独立。一般社団法人日本聴き方協会認定シニアインストラクター・認定シニアカウンセラー。 [ブログ]