人に頼っていいのだと、子どもが教えてくれた

撮影:稲澤朝博

明「仕事を始めてみて、人に頼らざるを得ない状況になって、“本当に申し訳ないのだけど、助けてください”って言ったら、周りの人がすごく快く助けてくれたんですよ。それでやっと甘えるっていうか、助けを求めるのは悪いことじゃないんだなって思えました」

――今は、人に頼ることは得意になりましたか?

明「うーん、あんまり得意になれたとも思わないですけど(笑)、夫や母たちにはだいぶ気を使わずにお願いできるようになりました」

――最初は気を使っていたんですか?

明「そうですね、仕事という”子どもを預けるのにまっとうな理由“があれば頼みやすいんですが、リフレッシュのためとか、ただ2時間ほしいとか、そんなことは頼んではいけないと思っていましたね。それだったら、お金を払ってベビーシッターさんに頼む方が気が楽と思ってしまうくらい、抵抗がありました」

――関係が近いからこそ、気を使ってしまっていたんですね。

明「夫にとっては子どもだし、母たちにとっては孫なんだから、一緒に大変さを分かち合ってもいいんじゃないかとやっと思えてきたのは、子どもたちのおかげですね。

預けられた子どもは、楽しかったーって帰ってくるわけですよ、普段は私とだとできないことがやれたりもしますし。そういう姿をみて、預けてもいいんだって思えるようになってきましたね」

――子どもも、ママといない時にずっと泣いているわけではないですよね。

明「そうなんですよね。一番下の子は、バイバイする時はいまだにぐずったりすることもあるんですけど、ここでスパッと別れたら、3分後には私のことを忘れて遊んでいるなって経験値としてわかってきたので」

夫や母たちとの関係で気をつけていること

撮影:稲澤朝博

――ご主人やお母様たちになにかお願いする時に、気をつけていることなどありますか?

明「そのへんは雑かもしれません(笑)」

――子育てのことで、実の親とこじれてしまう人もいるようです。距離が近すぎるからか、甘え過ぎてケンカになったり、子育てに関して口出しされたりして。

明「そうですね。甘えすぎたり、求めすぎたりはしないようにしています。なんでもかんでも“やっておいてお願い“じゃなくって、たとえば預ける時でも、ごはんは必ず用意してから出かけるとか、自分が気持ちよく出かけるためにも、あっちに負担をかけすぎないためにも」

――頼るのも頼られるのも、バランスが大事ということでしょうか。

明「夫だから甘えたっていいでしょ、親だったらここまでやってくれるでしょ、とは思っていないです。親だろうが夫だろうが他人は他人ですし、むしろ家族以外の人にお願いする時以上に気を使っているかもしれません。だって一生つきあっていかなきゃいけない人たちですからね。

それは決して、悪い意味で“気を使っている”わけではなくて、人と人って、きちんと保たなきゃいけない距離とか、失っちゃいけない尊敬とかってあると思うんですよね」

――それはいみじくも、明日香さんがお子さんを産む前までは、人には頼らずがんばってきた人だからこそ出てくる言葉なような気がします。