展覧会URL:https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionarchive/2026/468.html

デザイン:菊地敦己
左から、新里明子 ヘッド/ノーズピース《Another Skin》 2015年 金メッキ真鍮、スワロフスキークリスタル 作家蔵、オットー・キュンツリ ブローチ《スイス・ゴールド》 1983年 厚紙、アクリル 京都国立近代美術館蔵 (C)Otto Künzli, VG Bild-Kunst, Bonn 2025
2026年10月24日(土)~2027年1月17日(日)の期間、京都国立近代美術館にて「ジュエリーは、誰を夢みる」を開催いたします。
あなたに、本当に似合うジュエリーとは--それは周囲の視線や年齢に左右されず、有名なブランドのジュエリーでもなく、今この自分の気持ちを表して強く豊かに生活するためのものであってほしい。本展で紹介するのは、そんな願いを模索する作家たちの試みです。
日本でジュエリーが一般的ではなかった時期に、平松保城(1926-2012)や菱田安彦(1927-1981)を中心に日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA)が設立されたのは1964年のこと。JJDAを中心に開催された「国際ジュウリー・アート展」(西武百貨店渋谷店、1970年から1986年)は、欧米の動向を日本に紹介し、素材の価値だけではないデザインという概念を広めました。70年代後半からは、ジュエリーの特性をコンセプトとした、同時代美術と呼応する作品が日本にも紹介されます。これらはコンテンポラリージュエリーと呼ばれ、富や象徴としての役割や、着用者と見る人との関係性を逆手に取った表現が提示されます。1993年には、伊藤一廣(1948-1997)やオットー・キュンツリ(b. 1948)を中心として東京、ミュンヘン、アムステルダムによる三校合同展が始まるなど、コンセプチュアルな姿勢を持つ海外作家との交流が継続しました。現在、芸術表現としてのジュエリーの領域で、日本人作家は大きな存在感を見せます。同時に彼/彼女たちは、コンセプチュアルなジュエリーを自らのアイデンティティを問い直す方法論ともしてきました。
本展は、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ所蔵作品の大規模な公開に加え、約50年ぶりにドイツから来日する優品、また現代作家作品まで約350件により構成されます。身に着けるものに表現が侵入している、というジュエリーの可能性を、戦後の日本に視点を据えて問い直します。
主な出品作家
シガード・ペアソン、マリオ・ピントン、ラインホルト・ライリンク、ブルーノ・マルティナッツィ、平松保城、ヘルマン・ユンガー、山田禮子、ペーター・スキュービック、ウェンディ・ラムショウ、ディビッド・ワトキンス、ハイス・バッカー、中山あや、ベルンハルト・ショービンガー、永井慧悧子、伊藤一廣、オットー・キュンツリ、テレーゼ・ヒルバート、キャロライン・ブロードヘッド、ダニエル・クルーガー、ワーウィック・フリーマン、薗部悦子、テッド・ノーテン、カール・フリッチ、いしかわまり、嶺脇美貴子、フェリカ・ヴァン・デル・リースト、大山由華、田口史樹、鎌田治朗、珠数かおり、新里明子、ほか70名以上を予定
注目の作品

オットー・キュンツリ ブローチ《スイス・ゴールド》めかし込んだ男性の胸元に光る金塊のブローチは、「本物の」スイス・チョコレートの紙箱で作られています。洗練された文化的素養を示したいとき、また財産としても、優れた質とデザインの金のジュエリーを求める気持ちを皮肉を込めて象徴する作品です。

オットー・キュンツリ ペンダント《日の出―日の入り》1993年の初来日にあたって制作され、伊藤一廣とヨーク・ブラクマンとの「3教授展/We 3 Jewelry Triangle」で発表されたペンダントです。白い球と赤い円の単純な構成は、アメリカを代表するキャラクターを連想させますが、同時に日の丸のイメージを重ねた表現にもなっています。

テッド・ノーテン 《Chisaka's Bag》所蔵者の妻が亡くなった後、愛用していた指輪をアクリル樹脂に閉じ込めて制作されました。ものを入れる機能よりも、手に持つジュエリーとしての役割を踏まえてバッグのかたちをしており、持ち手も故人の愛用バッグから転用されています。ジュエリーが持ち主の記憶や思い出と切り離せないことを強く意識させられる作品です。

いしかわまり リング《Love makes blind(愛は盲目)》角度を変えると、ハートにもエタニティ―(∞)にも見えるかたちをした「愛は盲目」と題された指輪。表面には、5か国語の点字で「I Love You」と書かれています。当時作家は、ミュンヘン美術アカデミーのオットー・キュンツリのもとでコンセプトを持つジュエリーを学んでいましたが、それは日常的に異なるコミュニケーション方法や文化的背景に身を置くことでもありました。本作は、ジュエリーに馴染みあるモティーフを用いながら、努力しなければ意味の汲み取れない関係性を提示しています。

田口史樹 ブローチ、ペンダント《The memory to relive》和彫りを独自に昇華させた技法で、銀はまるでダイヤモンドを散りばめたような様相を呈します。田口は同シリーズで2025年にLOEWE FOUNDATION Craft Prizeファイナリストにも選出されています。本作では十字型が中心に据えられ、ゴシックの紋章などを彷彿させます。

新里明子 ヘッド/ノーズピース《Another Skin》新里明子はロンドンのセントラル・セント・マーチンズ在学中に、容姿と自信の相関関係についての研究を背景として、顔を改変するジュエリーの制作を始めます。別の誰かになりたい、という憧れは、時に強い原動力を人に与えます。同時にそれは、今の自分を直視して向き合い、前へ進むことでもあるのではないでしょうか。
- 開催概要
展覧会名:「ジュエリーは、誰を夢みる」
会 期:2026年10月24日(土)~2027年1月17日(日)
会 場:京都国立近代美術館(〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町)
開館時間:午前10時~午後6時、金曜日は午後8時まで開館
*入館は閉館の30分前まで
休 館 日 :月曜日(ただし、11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館し、翌火曜日は休館)、年末年始(12月29日(火)~1月3日(日))
主 催:京都国立近代美術館
特別協力:専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ、公益社団法人日本ジュエリーデザイナー協会、国立工芸館
協 力:JEWELRY JOURNAL
H P: https://www.momak.go.jp/
巡 回:島根県立石見美術館 2027年3月20日(土)~6月21日(月)、山梨県立美術館 2027年7月3日(土)~8月29日(日)
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