子どもが通っている園の個人面談で、先生から「○○君は集団行動をとるのが難しい状態です。言葉も遅く心配ですので、一度専門機関を受診なさったらどうでしょうか」。こんな風に言われてしまいました。
さて、あなたは激怒しますか?それとも、聞く耳を持ちますか?『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』の立石美津子がお話しします。
発達障害とは
- 学習障害(LD)
- 注意欠如/多動症(AD/HD)
- 自閉症スペクトラム(ASD)
発達障害の疑いのある子どもは、全体の6.5%存在すると言われています。
受け入れられないのが当たり前
園の先生は他人、我が子は「自分がお腹を痛めて産んだ家族」。「もしかしたら、発達障害の疑いがあるのでは」と他人から言われて、「ハイ、わかりました。では病院に行ってみます」と素直に言える親は少ないのではないでしょうか。
筆者の場合、息子が2歳のときに専門医師から診断されましたが、医師に対して怒り、「担当医を変えてほしい」と看護師に詰め寄ったくらいです。ですから、専門家でもない保育者から言われたら尚更だと思います。
親は子どもの将来に夢や希望を持っていたのに絶望します。
このように、そもそも、他人と親とでは受け止める気持ちのレベルが違います。
幼稚園、保育園の先生方へ…
「あの保護者はいくら話をしても聞く耳を持とうとしない」と嘆かないで、自分に置き換えてみて今一度、考えてほしいと思います。
障害が重ければ、受容も早い
障害を受け入れる親は“受け入れざるを得ないほど、子どもの障害がある程度重い”のではないでしょうか。
ですから、園に入る以前に「視線が全く合わない、親を追わない、抱っこしても反り返って拒否する」など顕著な状態があって、既に病院で診断を受けていることもあります。
そして、入園したときには、もう障害を受け入れていて「うちの子は自閉症なので宜しくお願いします」となっています。こうなると園側も対処しやすくなります。
また、ダウン症などの染色体異常は染色体を調べればわかります。これに対して発達障害は採血したり脳のMRI撮影をして明確にわかることはないので、「そんなことはない」と受け入れないケースも度々起こります。
障害が軽ければ、受け入れがたい
障害が重くなければ…
「他にも似たような子どもはいるじゃないか」
「個性の一つなのだから、そんなこと言わないでほしい」
と拒否したくなります。普通の子に近ければ尚のことです。
「今は集団行動がとれず、言葉も出ていないけれど、私が頑張らせれば、周りの子と同じことが出来るようになるに違いない」と期待します。
また、子どもと長く接している母親は「なんだか怪しい」と違和感を抱き、「専門機関を受診したい」と願っていても、夫や姑が断固拒否するケースもあります。これで家族の間に溝が出来てしまうこともあります。