いけばなを起点に、花・茶・能、空間、土地へ。生命を彫刻し、文化を育てる実践を伝える。

株式会社辻雄貴空間研究所は、華道家・辻雄貴の約10年間の活動をまとめた、初のウェブアーカイヴを公開します。
辻は、いけばなを起点に、花、茶、能、素材、空間、建築、土地へと活動を展開してきました。その根底にあるのは、自然や人、素材、場所にすでに宿っている生命を見つめ、その可能性を呼び起こすというまなざしです。
2026年、辻はForbes JAPAN「CULTURE-PRENEURS 30 2026」に選出されました。今回のアーカイヴでは、国内外で手がけてきた作品や舞台、空間表現を紹介するとともに、そこから続く文化と社会への構想を伝えます。
辻雄貴|活動アーカイヴ https://yukitsuji.com

YUKITSUJI WORKS

YUKITSUJI WORKS
生命を彫刻する|Sculpting Life
一輪の花にも、長い時間を生きた木にも、土地の記憶を宿す場所にも、それぞれの生命があります。
辻雄貴の仕事は、その生命を新たにつくり出すことではなく、すでにそこにあるものを見つめ、呼び起こすことから始まります。
植物の姿を読み、その生命を生かすいけばな。素材の来歴や土地との関係を受け取り、空間として立ち上げる造形。庭や建築、舞
台に人が集まり、文化を体験する場づくり。
対象の大きさや領域は変わっても、その根底にあるのは、生命と生命の関係を捉え直すという、ひとつの実践です。
辻はこの考え方を、「Sculpting Life|生命を彫刻する」と呼んでいます。

PJ / Carnegie Hall
いけばなから、空間、土地、社会へ
辻は大学・大学院で建築を学び、空間や構造の研究を重ねる一方、20代からいけばなを学び始めました。建築の研究と、植物の生命を見つめるいけばなの鍛錬。その両方を重ねる中で、植物や素材を生かしながら、人と自然、空間の関係を捉える独自のまなざしが育まれていきます。
その実践は、花器の中から、舞台、庭、建築、山へと広がりました。
能楽師・大倉慶乃助との「シャクジ能」をはじめ、国内外の文化施設や企業との協働を通して、植物や木、⽵などの素材を、その土地の歴史や文化、人との関係の中で捉え、空間表現を重ねてきました。
ニューヨークのカーネギーホールでは、現地の山から切り出した植物とヘラジカの角を用いたパフォーマンスを実施。オーストラリア・シドニーでは、日本文化をテーマとする複合施設「Prefecture 48」内のフュージョンダイニング「FIVE」のために、大型彫刻作品を制作しました。
素材は、その場所に置かれることで、新しい表情を持ち始めます。辻は、その素材がたどってきた時間と、これから出会う人や空間との関係を見つめながら、表現を生み出しています。

PJ / Prefecture 48
藝・耕・游・環 生命を呼び起こし、文化を育て、次へつなぐ
辻の実践は、作品をつくるところだけで終わりません。そこから人々が出会い、文化を育み、生まれた価値を自然や地域へとつないでいく。その流れを、「藝・耕・游・環」という四つの動きで捉えています。
藝|EVOKE
素材や場所に宿る生命を見つめ、その可能性を呼び起こす。
耕|CULTIVATE
生まれたものを、人や時間とともに育て、文化として根づかせる。
游|EXPERIENCE
花、茶、能、食、空間などを通して、人が文化の中に身を置き、体験する。
環|CIRCULATE
生まれた価値を自然や地域、次の担い手へとつなげていく。
これらはそれぞれ独立した活動ではなく、ひとつの実践としてつながっています。作品から場が生まれ、場に人が集い、人の営みが文化を育てる。そして、その文化を支える仕事や技藝が、次の自然や地域の営みにつながっていく。辻は、こうした関係を時間をかけて育てていきます。
土地の生命と文化を結ぶ「シャクジ能」
「シャクジ能」は、辻雄貴と能楽師・大倉慶乃助が2013年に始めた、いけばなと能楽によるプロジェクトです。土地ごとに空間を設え、能楽と献花差立を通して、その場所に宿る自然や記憶と向き合います。植物、舞台、身体、祈りが重なり合うことで、土地が持つ生命を感じる時間を生み出してきました。2026年1月には、静岡・浮月楼で「浮月シャクジ能」を開催。倒れた春楡を庭の橋へと再生するための寄付を募る、現代の勧進能として行われました。庭園、いけばな、茶懐石、能楽を一日の体験として結び、場所に受け継がれてきた文化を、いまを生きる人々とともに次の時代へつないでいく試みです。

NO NUKES 2015 シャクジ能 パフォーマンス
自然から生まれたものを、次の営みへ循環型アート
辻の活動の一つに、自然からいただいた素材を文化として生かし、その役割を終えた後も、次の営みへとつないでいく「循環型アート」があります。たとえば、空間表現に用いた⽵の一部をチップ化し、山へ還す取り組みを行ってきました。また、倒れた木や使われなくなった素材を見つめ直し、舞台や彫刻、庭の中で新たな役割を与えることにも取り組んでいます。自然から素材をいただき、作品や空間として生かす。そして、その先に、ものづくりや土地の手入れ、新しい仕事が生まれていく。循環とは、素材の行き先だけではなく、自然、文化、人の仕事が続いていく関係を育てることでもあります。

竹を用いたインスタレーション 放置竹林と竹林整備
異なる土地と文化の中で
辻の実践は、海外における文化交流にも広がっています。日本とオマーンの国交樹立50周年を記念する文化事業では、ロイヤル・オペラ・ハウス・マスカットを舞台とした能「石橋」の舞台芸術を担当。日本と現地の植物を用いたいけばなによって、両国の自然と文化を一つの舞台に結びました。
土地が変われば、植物も、人々の暮らしも、受け継がれてきた文化も異なります。その違いと向き合いながら、いけばなや能を通じて新しい関係を生み出していく。辻にとって国際的な活動もまた、それぞれの土地にある生命を見つめる実践の延長にあります。

日本・UAE国交50周年記念公演 / 日本・オマーン国交50周年記念公演
静岡の山から、次の100年を考える
辻は現在、故郷・静岡にある約1,500坪の山を拠点に、植物を育てながら、自然と文化がともに生き続ける場づくりを進めています。
季節の移ろいを⼆十四節気の視点から捉え、植物を育て、花材として生かす。さらに、花、茶、能、ものづくり、教育など、さまざまな営みを結びながら、人と自然が関わり続ける場所へと育てていきます。自然の恵みから文化が生まれ、文化を支える仕事が育ち、そこから生まれた価値が、再び自然や地域へとつながる。その営みを、次の世代へと受け継いでいくことを目指しています。

文化を職能に。職能を循環に。
文化を未来へつないでいくためには、それを担う人々が育ち、技藝を磨き、仕事として続けていけることも大切です。花をいける人。植物を育てる人。場をつくる職人。文化を伝える人。そして、その場に集う人々。それぞれの仕事や関わりが結びつくことで、文化は日々の営みとなり、地域や社会の中で生き続けます。辻雄貴空間研究所は、芸術家、職人、研究者、企業、地域の人々との協働を通じて、作品や空間、体験を生み出すとともに、文化を支える仕事や仕組みを育てていきます。

いけばなから始まったまなざしを、人と自然がともに生きる未来へ。辻雄貴は、生命を見つめ、文化を育てる実践を続けていきます。
辻雄貴|活動アーカイヴ
https://yukitsuji.com
Forbes JAPAN「CULTURE-PRENEURS 30 2026」
https://forbesjapan.com/feat/culture-preneurs30-2026/
辻雄貴について
華道家。いけばなを起点に、花、茶、能、素材、空間、建築、土地などの領域を横断し、国内外で作品、舞台、空間表現を手がける。自然や素材、場所に宿る生命を見つめ、その可能性を呼び起こす「Sculpting Life|生命を彫刻する」を実践。自然と文化、人と社会の関係を捉え直し、文化を次世代へとつなぐ取り組みを行っている。
2026年、Forbes JAPAN「CULTURE-PRENEURS 30 2026」に選出。
株式会社辻雄貴空間研究所について
いけばなの思想を起点に、自然、文化、芸術、空間、人の関係を捉え直す。芸術家、職人、研究者、企業、地域との協働を通じて、作品、空間、文化体験を生み出し、文化が社会の中で続いていく仕組みづくりに取り組んでいる。
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