毎年、ニュースを賑わすセンター試験でのカンニング。今、目の前にいる素直で可愛いわが子が将来、そんなことをしたら残念ですよね。でも、幼くても子どもはズルをすることがあります。親として、どう教えていったらよいのでしょうか?

1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子がお話しします。

筆者は仕事で幼稚園や保育園で5歳児とトランプの神経衰弱をしたり、すごろくなどのゲームをすることがあるのですが…「どうしても友達に勝ちたい!」そんな気持ちが強い子の中に、ズルをする子がチラホラいます。

どんな手段を使ってでも優勝したい“負けん気が強い子”で、それはそれで良い面だと思います。

ただ、これに大人が気が付いた場合、見て見ぬ振りをするわけにはいきません。さて、家庭で同じことが起こったとき、どうすればよいのでしょうか。

子どもがズルをする心理

人間の子どもはおっぱいを吸うこと、オムツが濡れたら泣くことなどは生きるための本能として持って生まれてきますが、道徳心や良心は持たずにこの世に誕生します。

3歳くらいまでは社会性がまだ育っていませんので、ゲームをしても「勝った、負けた」にあまりこだわることはありません。「友達より何枚多く取れたか」ではなく、1枚でも取れたらニコニコしている可愛い子どもです。競争心があまりない年代ですね。

ところが、4歳過ぎた頃から社会性が育ってきて、他者と自分との違いを感じたり、友達と協力したり、鬼ごっこをしたりルールのあるゲームに興味を持つようになります。こんなとき、勝ちたい一心でズルをする子も出てきます。負けん気が強い子に多く見られます。

子どもがズルをしたとき、どう対応すればよいの?

お天道様は見ていることを知らせる

筆者が生徒と神経衰弱をしたとき、自分の番ではないのに人の目を盗んでカードを裏返してチラリと見る子を発見しました。

そんなときは…

他の子ども達の手前もあるので、皆の目の前で「いま、ズルしたよね!」と叱るのではなく、耳元でその子だけに聞こえるように「今、カードをめくってみていたよね。それはやってはいけないことだよ」と教えます。

すごろくをしたときに、振ったサイコロの目より多く進もうとする子に対しても、同様に「先生は見ていますよ」と言います。

お友達の目は騙せてもお天道様や神様的な存在である者からは「お見通しである」ことを伝えるのです。どうしてかと言うと、先生は神様ではないですが、幼い子たちにとっては絶対的な者のようですから…。

ズルして勝っても、価値がないと教える

更に「ズルをしたら皆がゲームを楽しめないよね。それから勝てたとしても、自分だって嬉しくはないよね……」と諭します。「ズルをしてまで勝ちたい」と思う年齢は社会性が育ってきた4歳以降ですので、こうしたちょっと難しい話でもちゃんと理解できます。

家庭でも頭ごなしに叱りつけるのではなく「子どもの良心、道徳心を育むんだ」という気持ちを持って教えていきましょう。

カンニングしてまで合格しようとする人間にならないためには、「何が何でも勝つことが大事である」という価値観を植え付けるのではなく、「人の目を騙して勝ったとしても意味はない」としっかりと教育していきましょう。

これで良心や道徳心、そして悪いことをしたとき、たとえバレなくても「自分のしている行為はやってはならないこと」と思う“罪悪感”を感じる心が育っていきます。