ごはん・パンだけでは「食べないのと同じ」!

「これまでは、朝ごはんを『食べる・食べない』の議論が中心でしたが、最近では朝ごはんの『質』に注目した研究が重視されるようになってきました。朝ごはんに、きちんと『おかず』も食べないと脳が働いてくれない、ということが明らかになってきたのです」

実は、ごはんだけ、パンだけを食べるのでは「朝食を食べないのと同じ」なんだそうです。

これまでは広く、「脳はブドウ糖があれば働く」と思われていましたが、実際にはブドウ糖だけでは脳はスムーズに働かず、栄養バランスを意識したものを一緒に食べないと、十分に機能しないそう。

「朝ごはんを食べている家庭のうち、『おかずを食べていない』という家庭が半数です。つまり朝ごはんを“きちんと”食べていないがゆえに、全体の半数近くの子どもが、自分の能力をころしてしまっている可能性が高い。どちらかというと、(食べる・食べないより)その方が深刻ですね」

パンよりは「ごはん」を

「きちんと『おかず』も食べるという前提で、さらにその上を目指すならば、主食はパンよりお米の方が有利です。ごはんは血糖値の上がり方が緩やかですし、『おかず』をしっかりとれる、という意味でもごはんがいい」

精製された(白い)小麦粉で作ったパンは、栄養のある部分がほぼ取り除かれているため血糖値が急上昇し、体や脳の発達によくない影響をおよぼすとか。さらに、朝食にパンを食べる人は、「おかず」を食べずにパンだけで済ませる場合が多く、栄養が偏りがちに。

総合的にみて、パンよりごはんを食べるほうが、脳そのものがよく発達するだけでなく、勉強をしようという“意欲の脳”にもよい影響を与えるといいます。

それでも、やっぱりパンを食べたいという場合は?
「全粒粉のパンにしていただくとか。私は玄米を使って、自分でパンを作って食べています。大枚をはたいて、パン焼き器を買いまして(笑)。

シリアルなどは、白いパンよりはいいのですが、牛乳をかけるだけで結局、『おかず』をとらずに終わってしまう確率が高くなります。『おかず』を加えないと、朝ごはんを食べたことにならないんです」

朝からしっかり、栄養バランスの整った「おかず」を作ろうと思うと、途端にハードルが高くなりますが、先生は著書の中で、「前の晩に残したものなどでいいので、普段よりおかずを1品、増やすことを心がけてみては」とアドバイスされています。