7年目のジンクスを乗り越え…
ファンへの強い思いが表現されたのが、11曲目の『ネガ ソン チッテ ジュミョン』。タイトルは“あなたが手を振ってくれたら”という意味だ。曲の途中で特別ムービーが挿入され、メンバーからの日本語でのメッセージが映し出された。彼女たちがそれを読む。
「2011年から19年までの8年間、いつも私たちのそばで見守ってくれたパンダ(Apinkファンのニックネーム)の皆さん。その時間はうれしい時、幸せだった瞬間ばかりではありませんでしたよね。悲しかったり切ない瞬間もあったと思います」
「ほとんどのグループには、7年目のジンクスがあり、パンダの皆様も心配されたかと思います。私たちメンバーもそうだし、ファンの皆さんもそうだし、その時をよく乗り越えたみたいです(乗り越えられたようです)」
確かに韓国のガールズグループの多くは活動7年目を境に個人活動が中心になったり、あるいは解散するなど大きな峠を迎える。これを乗り越え、新たな出発を日本のファンにも示す。今回の来日ステージは、この点を伝えることが大きなねらいだったのではないか。そんなことを感じさせた。メッセージの後、曲が再開された。
ナムジュの「私の心のすべてを尽くして いつでもあなたに向かって声をあげて歌う」というパートに続き、メインボーカルのウンジが力強く歌い上げた。
「ナン ノレハンダ(私は歌う)」
ファンが応援してくれる以上、歌い続けたい。そんな決意とシンクロする瞬間だった。
「赤」と「白」、対象的な演出の他にも彼女たちが必死に話す日本語も会場を沸かせた。なかでも2日の公演では9曲目の『ピョルクリゴ』に入る直前に、メンバーが「次の曲、聞かせていただきます」と思わず言い間違った。これに最初のパート担当のナムジュが笑いをこらえきれず歌えないハプニングも。会場からは「かわいい!」と声が挙がっていた。
このほか、『Mr. Chu』の日本語バージョン、日本オリジナル曲『Orion』も久々に披露。ウンジ自ら「ベテランになった」と話したとおり、乗せ、聴かせ、笑わせて、魅せる、「さすがApink」と思わせるステージだった。