ももクロを成長させた「ワークショップ」とは?
――二次審査は、ワークショップオーディションだったそうですね。
本広:『幕が上がる』でもご一緒した平田オリザさんからいろいろ教えてもらって、何パターンかを試しました。
――ワークショップではどんなことをするんですか?
本広:実は僕やスタッフも『幕が上がる』の時に、ももいろクローバーZとスタッフで1週間ぐらいワークショップを受けたんです。
――本広さんも受けられたんですか!
本広:そうです。基本となる考え方は、「相手のことを考えて演技する」ということ。
セリフもただ言うのではなく、自分のセリフを言いながらも別の人に声をかけられたら反応する、これを「セリフを反射させる」と言っていたのですが、そういうことをやりました。
あとはコミュニケーション力を高めるということですね。電車のボックスシートで向かいに座った人と言葉ではない会話をする、という芝居を現実化していく作業もしました。「どうも」とか言うと芝居になってしまうから、会釈だけするとか。
他にもセリフの言い方にも意味があるということなどもガッツリ教えていただきました。
――人間力を高める、という感じですね。そういう作業をする中で、ももクロの皆さんは変わっていきましたか。
本広:成長しました。ももクロちゃんたちはとてもパワフルで、すごい吸引力を持っていました。さすがアイドルの第一線でやってる子たちだと思いましたよ。
最初は芝居をするのを怖がっていましたが、ワークショップを受けたことで演劇に覚醒していきました。普段から歌って踊ってというパフォーマンスをしている彼女たちは勘もよくて、芝居も普通の役者よりうまいんじゃないかと思いますよ。
――そこまでですか!すごいですね。
実はこの間、静岡でのライブ「桃神祭」を『幕が上がる』のメンバーと見に行ったんですが、映画で彼女たちが歌った「青春賦」ではみんな号泣でした。しかも、ももクロちゃんたちの表現力が上がっていて、「これって演劇力が生かされてるよなあ」と思って。彼女たち自身も『幕が上がる』に出た後からそういう風にできるようになったと話してました。