「あれは“やらせてみろ!”って言われてもできないですよ。
それに、あそこは本来ラブラブじゃなきゃいけないシーンだったんですけど、無理を承知で二匹を一緒に置いたら、案の定ああなって(笑)。
しかも、あれはリアルスピードですからね。ジャックがパパパパパンってすごいスピードであなごにパンチを繰り出し、ダッシュで逃げたから、これじゃダメだ~ってことで、結末が変わっちゃったんですけど、面白さは出たかな~と思っています(笑)」
愛猫の”最高に可愛い表情”を撮る秘訣
最悪な状況でさえもプラスに転化させるなんて、さすがはプロ。そんな北村さんに、最後に旅先で愛猫の最高に可愛い表情を撮るにはどんなことを気をつけたらいいのか教えてもらった。
「まずはその場所に馴染ませることですね。みなさんがSNSにアップしている猫の面白い動画の多くも、たぶん自宅で撮ったものですよね。
逆に、あなごたちのように演技を求められる猫は、初めての場所でそれをやらなければいけないんだけど、そんな状況ではなかなかリラックスした表情は撮れないですよ。
だから、まずはいろいろなところに連れていかれることに慣れさせる段階が必要なんです」
なるほど! それでは、猫がリラックスしているかどうかはどうやって見極めるのだろう?
「リラックスしているかどうかの目安は、ごはんを食べるかどうかで分かります。
緊張していたら食べないです。猫って食べているときと排泄しているときがいちばん外敵に狙われやすいから、最も気持ちが張りつめているんですよね。
なので、好物を見せれば、まだ食べる余裕があるのか、食べられないぐらい緊張しているのを量るバロメーターになるんです。
それに、子猫なら猫じゃらしに反応して素直に動くけれど、5、6ヶ月もするとキャラクターも出来上がってくるから、緊張しやすい子は猫じゃらしを見る余裕もないし、ごはんも食べなくなる。
それがいい表情を引き出すのは難しい子だなという判断になります。
そういう子には、頭を撫でてあげたり、“大丈夫、大丈夫”って話しかけてあげたりして、安心感を与えるようにはしてますけどね」
猫のいい表情を撮ろうとして、絶対やってはいけないこと
それでは逆に、いい表情を撮ろうとしてやりがちなことで、絶対にやってはいけないことは?
「不用意に大きな音を立てるのはやめた方がいいですね。
音を立てると、確かに見ることは見るんです。
でも、同じ手は二度は使えません。例えば、音を立てて目線をこちらに向かせて、フラッシュを焚いて撮りました。
そうすると、見たら光って、それがすごくイヤだったという記憶として強く残ってしまう。
猫の場合はネガティブの記憶になる傾向が強いですからね。
これが犬の場合だと、例えば音の鳴った方を見ました。フラッシュが焚かれました。
でも、ごほうびをもらったので、ああ、楽しかったという終わり方ができるんですよ(笑)」
なるほど、なるほど。映画を観たら、もっといろいろな発見があるに違いない。
9月1日に発売されたコミック版『猫侍ぱんち~白猫騒動』(少年画報社/580円〈+税〉)も読んで、可愛い玉之丞=あなごに癒されながら、猫との快適な旅を楽しんでみては?