牛肉、豚肉、鶏肉。3種類のひき肉で作ったキーマカレーは、千葉県産コシヒカリといっしょに「やちよキーマカレー」(550円)としても提供している。手作りのキーマカレーの上に、茹でたほうれん草が添えられ、彩りも鮮やか。

スマイルデイズ 道の駅やちよ店/「やちよキーマカレー」(550円)

3種類のひき肉は、それぞれ食感が微妙に異なり、噛めば噛むほど肉汁があふれてくる。噛み心地が複雑なのもこの店のキーマカレーの特徴となっている。

実は、山脇さんは、スマイルデイズのスーパーバイザーであり、ハウス食品グループ本社の社員でもある。

「スマイルデイズは、ハウス食品の新規事業開発部が運営する、国内唯一のレストランです。新規事業開発部だからこそ、すべて手作りの料理を提供することにしました。母体がハウス食品だと聞けば、おそらく大半の人が『業務用のレトルトカレーを使っているに違いない』と思われるはずです。だからこそ、手作りに徹することにしました」

厨房は、ホールと売店を合わせたスペースよりも広い。その広い厨房で、キーマカレーを一度に50皿分作る。エキストラバージン・オリーブオイルを引いたフライパンで、ミキサーにかけた野菜を数回に分けて炒める。その後3種類のひき肉を炒める。ヘラでだまをくずしながら、色が変わるまで炒めたら、先に炒めた野菜と合わせ、スパイスを加えて煮込む。

スマイルデイズ 道の駅やちよ店/使用される野菜はどれも新鮮

親会社がハウス食品であれば、手頃な価格のレトルトカレーを購入したり、自社で作ったものを取り寄せることなど朝飯前……。なのにあえてそれをせず、家庭料理の延長で、スパイスアドバイザーの山脇さんがフライパンをふり、キーマカレーを仕込む。

スマイルデイズ 道の駅やちよ店/「やちよキーマカレー」調理風景

その脇で、パートの女性がカボチャのパウンドケーキを作っていた。その仕込みが終わったと思ったら、包丁でパセリを細かく刻みはじめた。みじん切りにしたパセリにオレガノなどのハーブをパン粉に混ぜる。これを鮭をまぶし、「サーモンの香草パン粉焼き」(390円)を作ろうというのである。

肉料理は、キーマカレーの他、「牛もも肉のロースト」(390円)や、「豚挽肉と筍のテリーヌ」(390円)、「手作り特製ハンバーグ」(390円)もある。

野菜料理も充実している。マヨネーズ不使用の「ポテトサラダ」(130円)や「ニンジンのラペ」(130円)など、おいしくて、廉価なサラダが多い。ニンジンのラペにいたっては、搾りたてのオレンジ果汁とすりおろしたオレンジの皮も使っているので香りが豊かで、ほどよい酸味と甘みが舌に嬉しい。

「デザートの用意もあります。『チーズケーキタルト』(300円)と『自慢のプリン』(200円)は豆乳を使うことで生クリームの量を半分にしています。動物性の油脂を抑えていますが、意外とコクがあり、満足していただけると思います」

チーズケーキタルトを食べたのだが、豆乳を使っていることを知らなければ、ごくふつうの、濃厚なチーズケーキだと思ったに違いない。

もういくつ寝るとお正月。成田山など千葉方面へ初詣に出かけた際、八千代に足を伸ばし、「スマイルデイズ 道の駅やちよ店」に立ち寄ってみては。嬉しいことに、この店ではイートインもできるが、テイクアウトも可能だ。

その昔、「おせちもいいけどカレーもね」というハウス食品のキャッチフレーズが流行ったものだが、キーマカレーと惣菜をテイクアウトするも良し。店で食べるも良し。

ご飯とおかず2品(620円)、おかず3品(750円)など、おかずが選べる、お弁当のテイクアウトもある。手作りのおいしいお弁当を買って帰り、ワインを開ける。たまにはのんびりと過ごせる夜があってもいい。

【店舗情報】
スマイルデイズ 道の駅やちよ店
〒276-0005 千葉県八千代市島田2076 道の駅やちよ やちよ農業交流センター
047-489-5761
9:30~18:30(12月と1月は10:00~17:30)
定休日は第2月曜(祝日の場合翌日)
年末年始は12月28日~1月4日まで休み

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。