近年、道の駅めぐりをする人がふえているという。自分自身、旅先で道の駅を利用する機会は少なくない。地元で取れた新鮮野菜や、珍しい野菜を手頃な価格で買えるのが、道の駅の魅力だ。
けれど、道の駅に併設されている飲食店には入らないようにしている。なぜなら、業務用の冷凍食品やレトルト食品を使っている店が多いからだ。買い食いこそするものの、地方に出かけたら、温かくて、おいしい手作りの料理を食べたいと思っているので、道の駅で食事をしたことはほとんどない。
ところが、いい意味で予想を裏切る道の駅の飲食店がある。その場所は、千葉県八千代市。
八千代市は首都圏のベッドタウンだが、その郊外には田んぼや畑が点在し、代々続く農家がいまも米や野菜を生産している。バス釣りのメッカとして知られる新川と、国道16号線が交わる場所に、「道の駅やちよ やちよ農業交流センター」がある。
その一画に、地元産の新鮮野菜を販売するコーナーがあるのだが、その対面に、今春、「スマイルデイズ 道の駅やちよ店」という飲食店が開業した。
野菜を買いに来た人が、この店の外観を見ても、「業務用の冷凍食品やレトルトを使っているに違いない」と思うかもしれない。
けれど、スマイルデイズに限っては、それは大きな間違いであることは、店内の香りをかげば一目瞭然ならぬ、一鼻瞭然である。温かくて、おいしそうなにおいが店内に満ちている。
入ってすぐの目の前にあるカウンターには、2種類のパウンドケーキが並んでいる。「南瓜(カボチャ)のパウンドケーキ」と「にんじんのパウンドケーキ」(共に150円)だ。
その脇には「カレーパン」(180円)がある。多いときは1日に150個売れるこの店のヒット商品だが、パン生地はもちろん、カレーも手作り。
パン屋でさえ、カレーパンのカレーに既成品を愛用するパン職人が多い。ところが、スマイルデイズでは、タマネギやカボチャなど、8種類の野菜(トマト、ピーマン、ニンジンは地元八千代産)を刻み、炒める工程からすべて手作り。
「うちのカレーパンには、キーマカレーが入っています。日本でキーマカレーというと、牛ひき肉か、合いびき肉を使うケースが多いかと思いますが、うちでは鶏肉も使うことで味に奥行きを出しています」
と語るのは、「スマイルデイズ 道の駅やちよ店」の山脇直人さんだ。