十分に睡眠をとっているのに、寝起きの気分の悪さに悩まされている人が多いと聞きます。太陽の光を浴びても、スマホの画面を見ても、気分の悪さが改善できないという人のために、身体が目覚めていくメカニズムと改善策をご紹介します。
寝起きのメカニズム
人が“目が覚める”メカニズムは、大雑把にいえばパソコンのスイッチを入れて起動するようなものです。もちろん人間の身体は、パソコンとは比べ物にならないほど精密なものですが、仕組みには共通するところがあるのです。
-
PCのスイッチをONに
→人:目覚める。
-
PCが起動準備を始める。
→人:睡眠ホルモン(メラトニン)が遮断されて幸せホルモン(セロトニン)の分泌が始まる。
-
PCの画面が映し出され、ソフトの起動が始まる。
→人:脳が運動神経に指令を出し、抗重力筋が活動を始める。
- ソフトの起動が完了
→人:身体を動かし、活動を始める。
これが、寝起きの時のメカニズムです。ここで、“抗重力筋”という聞き慣れない言葉の解説をしておきますね。
抗重力筋とは、下記のような重力に逆らって状態を維持する筋肉のことです。
- 首すじ(首を真っすぐにする)
- 背骨の周辺筋肉(姿勢を正す)
- 足の筋肉(二足歩行の維持)
- 瞼の筋肉(目を開ける)
- 表情筋(顔の表情を作る)
眠っている間は筋肉が弛緩していていますので、そのままでは身体を動かすことはできません。そこで、目が覚め、幸せホルモン(セロトニン)の分泌が始まると、“抗重力筋”にもパワーが徐々にみなぎってきます。
そして、「起き上がって活動しなさい!」という脳の指令(運動神経)に即座に対応できるように、活動準備を始めているのです。そして運動神経の指令に従って、準備万端整った抗重力筋が身体を動かすのです。
人間の身体は、良質な睡眠ができていれば、睡眠サイクルが正しく機能して、レム睡眠時に快適に目覚めることができるようになっています。体温を低下させて深い眠り(ノンレム睡眠)につき、体温を上昇させることで、浅い眠り(レム睡眠)になるのです。
だから、レム睡眠時に目覚めたら、目覚めて活動を始めようと思ったときに通常体温に戻りやすい、というわけです。
“良質な睡眠”、“睡眠サイクル”、“レム睡眠やノンレム睡眠の特徴”については記事「睡眠時間は『5時間』でOK! 美容も健康もバッチリ“良質な睡眠”のコツ」で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。
目覚めの気分の悪さはどうして起こるの?
目覚めの気分の悪さの原因は、次の2つが考えられます。
- ノンレム睡眠の低温時に無理やり起こされ、身体が活動する準備ができるまでに時間がかかってしまって、低体温の間気分が悪いから。
- 睡眠不足で身体のメンテナンスが不十分なために、脳や身体の疲労が解消されないまま目覚めてしまったから。
1の場合、体温が低温に戻れば体調はすぐに回復します。目覚めた時がノンレム睡眠中だとしても、目が覚めると睡眠ホルモンが遮断されて幸せホルモンの分泌が始まります。そして、脳は大慌てで体温を上げようと血流をアップさせます。
血流を急激にアップさせたので、血流が落ち着くまでの少しの間、頭痛があるかもしれません。個人差はありますが、遅い人で洗顔・トイレを済ませる頃には、頭痛も治っているでしょう。
しかし、2の場合はそうはいきません。午前中ずっと、あるいは午後になっても身体のだるさや頭痛がとれないこともあります。なんたって、あなたの身体は、エンストした状態なのに、何度もエンジンをかけ直して、無理やり動かしているようなものなのですから。
だから寝起きに気分が悪い時は、十分なメンテナンスをするためにも、無理に起きずにそのまま自然と起きるまで眠ってしまうのが本当は一番なのです。しかし、実際はそうはいきません。ではどうしたらよいのでしょう?