おやつにお煎餅をあげるとき「一つだけよ」と言っていますか?それとも「一枚だけよ」と言っていますか?
特に意識しない人がほとんどだと思いますが、実は周りの大人のちょっとした声かけの工夫で、小学校入学後の算数の力につながっていきます。
『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。
子どもはぬいぐるみを擬人化して「○○ちゃん」と呼んで遊んでみたり、蛙も蟻もライオンも自分の友達のように「ひとり~ふたり~」と数えてみたり…また、鉛筆も「一つ、二つ」と数えてみたり…なんとも可愛らしく、微笑ましい光景ですよね。
でも、4歳過ぎたらそろそろ物の正式な数え方をさりげなく教えていきませんか?机上で勉強させる必要はありません。
ママやパパが
- 「今日の夕飯はスパゲティーだから、フォークを3本テーブルの上に並べておいて~」
- 「わあ、カラスが2羽飛んできた~」
こんな風に話しかけているだけで、子どもは物の正しい数え方を学んでいくことができます。
文章題
小学生の算数の文章題です。
「えんぴつが3ぼんありました。2ほん かってきました。あわせてなんぼんになりますか?」
- A君の答 3+2=5 答え 5ぼん
- B君の答 3+2=5 答え 5ほん
どちらも式と答えは正解です。でも違いは単位の付け方。「5ぼん」と答えるA君と「5ほん」と答えるB君。
実はこれはひっかけ問題で、文章題の問いの最後に「あわせてなんぼん」と書いてあったとき、なんの疑問も持たずに問いに釣られて、そのまんま「ぼん」と答えてしまうか「5だから“ほん”だ」と気が付いて、変換できるかどうかを試す問題です。
実際は小学校の算数の教科書にはこのようなややこしい問題は載ってはいません。次のようにすんなりと解答できる問題になっています。例えば…。
「えんぴつが2ほんありました。7ほんかってきました。あわせていくつになりましたか」
- 2+7=9ほん
このように問題に書かれている単位をそのまま「ほん」と書き移せば回答できる問題です。式を立てて正しく計算させることを目的にしているので、最後の単位の書き方については重要視していないのかもしれません。
更にそのうち1年生の2学期以降、「本」という漢字を習い始めると答えを「5本」と漢字で書いてしまえば済むからです。
だからと言って、ずっと幼児語で話しかけていればいい訳ではありません。
幼児語で話しかけていないと
筆者が小学生に指導していたころ、こんな問題を与えてみました。
「いぬが1ぴきいました。4ひきやってきました。合わせてなんびきになったでしょう」
- A君の答え 1+4=5 答え 5びき
- B君の答 1+4=5 答え 5ひき
B君は家庭で犬を「いち、に、さん」とか「ひとつ、ふたつ」とだけ数える家庭の言語環境ではない子でしたので、こんな問題も難なくクリアしていました。