「『これ、医者が言っちゃアカンよね』というセリフや『僕もこう言うわ!』というセリフがバンバン出てくる(ちょっと焦りました)、でも、正しく、まっとうな情報をわかりやすい形で発信しているからこそ、みんなに受け入れられたのだと思います」(同書より)
と、ご本人も認めるそのリアリティな描写。
医者のとんがった言葉でも、加工せずに鈴ノ木ユウさんが漫画でそのまま表現した上に、ドラマ制作陣がリアリティにこだわったからこそ、同ドラマは感動するのでしょう。
漫画『コウノドリ』誕生のきっかけ
ところで、なぜ、鈴ノ木ユウさんと荻田さんは知り合ったのでしょうか。そのひょんな出会いが同書で紹介されています。
それは今から7年前の2008年、荻田さんが某大学病院の産科チーフを担当していた頃にさかのぼります。後輩の幼馴染が大阪で里帰り出産をすることになり、荻田さんがそれを引き受けることに。陣痛が始まった頃に旦那さんが東京からやってきました。
バンドマンとして活動していた旦那さんは、若干のけぞりながらも立ち会い出産に参加したそうです。
実は荻田さんも元バンド経験者らしく、そこで旦那さんと「またセッションしましょうね」と社交辞令としか言えない言葉をかけてお別れしました。その後、しばらく経った頃に、「こんど先生をモデルにして漫画を描いたんやけど」と、バンドマンの旦那さんが漫画を描いたという連絡がありました。
荻田さんは状況がよくわからないまま、そのバンドマンと東京で再開。旦那さんはバンドをする前には絵をやっていたと話し、妻の出産に大変感動し、それを漫画にしたというのです。そのバンドマン・漫画家こそが、鈴ノ木さんだったのです。
『コウノドリ』は、世に出る前から号泣させていた
その日は2人で飲んで、荻田さんは漫画のネーム(下描き)を渡されたそうです。最終の新幹線に乗り込んだ荻田さんは、新幹線の中でそのネームを読んだそうですが……、その結果がこちら。
「涙で滂沱の如く湧出させた挙げ句呼吸困難になり、車掌さんに何回も見に来ていただくという状況に陥ってしまったのです。『コウノドリ』を公共交通機関で読むべからず……。ツイッターで皆様よく呟いておいでですが、まさに僕がその被害者第1号というわけです(講談社公認)」
昨今、ドラマ後に必ずと言っていいほど号泣投稿が呟かれていますが、なんと最初に涙腺を崩壊させたのは、同ドラマのモデルともなった荻田さんだったのです。
ご本人も号泣するくらいですから、もう、皆さん、同作で思いっきり泣いてください。
そんなこんなで、12月11日金曜には、第9話が放送されます。皆さん、ハンカチを忘れずに。