しゃべる猫との日々を描く『我々は猫である』

週刊アスキーのサイトで連載されているコメディ作品。現在は連載&スペシャル版あわせて60話あまりが掲載されており、単行本1巻が昨年10月に発売。小説家・ひより(ご主人)、人間の言葉をしゃべる不思議な猫・マオを中心に、個性的なキャラクターのドタバタ劇がフルカラーで描かれる。

近ごろは猫を飼う読者が増えたせいか、漫画に登場する猫キャラクターもリアリティを増してきた。そんなトレンドの中で「猫がなんの違和感もなく人間と会話している」設定は逆に斬新に感じる。マオは妙齢のご主人にセクハラ発言したり、仕事を邪魔したり、あの手この手で絡んでくる。ご主人は時に嫌な顔しつつもマオを大切にしている様子がうかがえ、ある意味で“人と猫の理想的な関係”だと言えるかもしれない。

ちなみにYouTubeにアップされている公式プロモーション動画もなかなか秀逸で、一見の価値アリだ。

全読者がドン引きした!『ねこぐるい美奈子さん』

最後に紹介するのは異色の猫コミック。ネット通販サイト・アマゾンの読者レビューページには「正気の沙汰とは思えない」「シンプルに狂ってる」など不穏な書評が並び、グーグルで作品名を検索すると第一候補に「マジキチ」というこれまたアレな関連ワードが出てくる。

そう、同人ウェブコミックから集英社の「となりのヤングジャンプ」へ移籍し、全4巻で完結した本作は、史上まれに見る“猫が好きすぎる女性”の物語なのだ。

一人暮らしで猫を飼っている美奈子さんは、無類の猫好き。彼女の目には愛猫「モエコ」たちがリアル美少女として映り、甘えられるとリッター単位のヨダレを垂らしながら「うひ!しゅごいいいいいい!」と悶絶し絶頂に達する。

そんな美奈子さんが近所にオープンした猫カフェで働くことになり、従業員や客、猫たちを巻き込んだマジキチ(本人談)な奇行を繰り広げていく。

とにかく美奈子さんの暴走シーンは一度見たら生涯忘れないほどインパクトがあり、「ひょっとして自分も猫と接しているときこんな変態顔をしていないだろうか…?」と自省するきっかけを与えてくれる。

個性的すぎる作風のため確実に読者を選ぶが、猫好きを自認する人はぜひ第1話だけでも読んでみていただきたい。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。