他人からは「いい人」と思われていることが多いし、自分でも「いい母親だ」と思っている。しかし、子どもから見るとじつは、生きづらい大人にしてしまう「毒親でしかなかった」──。

気づけない毒親』の著者で、「母娘*謎解きカウンセラー」として、これまでに3000名を超える人たちの相談に乗ってきた高橋リエさんは、「私自身がそんな気づけない毒親だった」と告白しています。

いったい、毒親とはどういう親で、どんな特徴を持っているのか。そしてどうすれば毒親から脱却できるのか。本書から学んでいくことにしましょう。

高橋さんの臨床経験によると、「毒母」は6つのタイプに分類されるそうです。

専門カウンセラーが分析した「毒母の6タイプ」 

1.ジャイアン・タイプ(毒舌・罵倒は当たり前)

口が悪く、つねに攻撃的で激高すると暴力も。恐怖で子どもを支配します。

「どうせできっこない」「お前なんて、産まなきゃよかった」「お前みたいなブスは、結婚できない」など、否定的な言葉の暴力は日常茶飯。

そのため、子どもは自己否定的な思い込みができてしまい、成人後もその影響は及びます。また、恐ろしい経験がトラウマになって、パニック発作や対人恐怖・不安、視線恐怖など、さまざまな症状が出ることもあるそうです。

このタイプにはサブタイプもあり、普段は優しいのに、スイッチが入ると変貌する「豹変タイプ」、複数の子どものうち特定の子どもだけを攻撃する「差別タイプ」があるそうです。

こうしたジャイアン・タイプの毒親を持った子どもの多くは、親の目をつねに気にするあまり、自発性が後退してしまい、成人後も人の顔色をうかがって生きるようになってしまうそうです。

2.かわいそうな母タイプ(罪悪感でコントロールする)

子どもが思い通りにならないと、つらそうにしたり、泣いたりして、子どもに罪悪感を持たせることでコントロールします。

「自分が悪いんだ」「お母さん、かわいそう」と思い込んで母親を助けようとする子どもの心理を巧みに操るため、成人後もコントロールされている人も少なくないそうです。

特に、夫の支配が強い家庭に多く見られるタイプで、子どもの中に「お父さんは悪者」「お母さんはかわいそう」「女はつらい」、といった思い込みができてしまうそうです。

3.パフォーマンス・タイプ(手段を選ばず思いを遂げる)

子どもが思い通りにならないときは子どもにわめき散らし、学校で子どもになにかあれば、学校に乗り込んで文句を言うなど、とにかく派手に、衝動的に行動するタイプです。

別居後も、突然アポなしで押しかけて来たり、気に入らないことがあると「死んでやる」などと脅し、子どもや周囲をいつまでも思い通りにコントロールしようとします。

4.至れり尽くせりタイプ(レールを敷いて巧みに誘導)

子どものために日々、世話を焼き、献身的に尽くしながら、自分が敷いたレールの上を子どもが着実に歩むよう、誘導するタイプです。

そして子どもも、お母さんのために頑張り続けて、高学歴でステータスの高い職に就くことも多いそうです。

いわゆる「勝ち組」に育て上げるので「毒親」には見えにくいのですが、自主性・主体性が欠落して育ってしまった子どもは、成人後に生きづらさを感じたり、ウツに悩まされることもあるそうです。

5.逃避タイプ(子どもと向き合えない)

仕事や夫、アルコール、宗教その他に依存して、母親業を放棄しがちで、衣食住には不住不自由させていなくても、心理的に子どもを放置してしまうタイプです。

自分も親に放置されていた経験がある人も多く、子どもとの接し方がわからなかったり、心理的な抵抗から子供と向き合えません。

子どもへの影響としては、他者との親密な人間関係が築けない、自分も子どもに同じことをしてしまう、などの後遺症が出る場合があるそうです。

6.自己愛タイプ(自分がどう見えるかがすべて)

 自分がよい母、あるいはそう見えることが重要で、子ども自身にはじつはあまり関心がないタイプです。

「自分は正しい」という思い込みが強く、子どもや周囲に対して、自分の非は認めない、都合の悪いことはすべて他者のせいにする、自分の言動を覚えていない、などの特徴があるそうです。

子どもは「自分がすべて悪いんだ」と思わされるため、自己肯定感が低くなる他、成人後、母と同じような自己愛タイプになってしまう場合もあるそうです。

いかがでしょうか。前半3つはわかりやすいタイプですが、後半3つは少しわかりにくいですよね。いずれのタイプにせよ共通しているのは、子どもに「生きづらさ」など、何かしらの後遺症を与えてしまう可能性があるということです。

そこで改善策についても少し学んでいきましょう。ちなみに、毒親はもちろん、母だけではありません。本書には「毒父5タイプ」も紹介されていますので、気になった方は本書でご確認ください。